2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550453
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
野原 勉 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (80339530)
|
Keywords | 免疫システム / 記憶 / 進化 |
Research Abstract |
杜会構造の複雑化に伴い制御システムの果たす役割は益々増大しており,さらに,その機能の高度化が要求されている.キーワードは自律であり,例えば,自律型ロボットは,人間を単純作業や過酷な労働から解放し,また,人間には,不可能な環境での作業も可能となる.しかしながら,ロボットの置かれた環境は時々刻々変化するため,ミッションを遂行するには,環境の認識・判断に基づいた動作計画の立案といった高度な自律機能を与えてやらなければならない.このような問題に対し,複雑かつ変動する環境下においてもロバストに対処できる制御法の一つとして,行動型人工知能があるが,複数の要素行動間の調停をいかに適切に決定するかが未解決の問題である. このような問題を解決するために,本研究では免疫系を工学的にとらえ複数の要素行動間の調停機構として作用させる手法を提案し確立しつつある.しかし,免疫系をネットワークとしてのシステムとして捉えた場合,工学的には,連立微分方程式を実時間で解く問題に帰着される.実用を考えた場合,機器に搭載されるコンピュータの性能にもよるが,連立微分方程式の実時間計算がネックになる.そのため,免疫学的記憶機構を導入しこれを解決する手法を開発した. 生物の免疫学的記憶と呼ばれる機構は,1度入ってきたウイルスに対しては,2度目以降,1度目には,見られなかった速さでウイルスを排除するといった機構である.この記憶機構をニューラルネットワークで実現し,免疫ネットワークと結びつけることにより,連立微分方程式の実時間計算の負荷を激減させることが可能となった.
|