2004 Fiscal Year Annual Research Report
地震波動エネルギーに基いた震源スペクトルの評価と強震動予測への応用
Project/Area Number |
14550477
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
泉谷 恭男 信州大学, 工学部, 教授 (60092863)
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Keywords | 震源スペクトル / 地震波動エネルギー / 地震モーメント / コーナー周波数 / 相似則 / 強震動 / K-NET / KiK-net |
Research Abstract |
防災科学技術研究所のK-NETやKiK-netなどによって観測された強震データを解析し,短周期震源スペクトル強度と地震モーメントの関係について調べ,地震の相似則がどの程度厳密に成立しているかの検証を進めてきた.しかしながら,震央に非常に近い観測点では,地盤は非線形挙動を示す.地盤の非線形挙動が地震波動エネルギー推定にどの程度の影響を与えるかについて評価した.2000年鳥取県西部地震本震の際の,震央距離が15km以内の観測点の記録を用いると,地震波動エネルギーをかなり過小評価することを確認し,前年度までの結果を修正した. 更に,2004年10月に新潟県中越地方で発生した地震群について,短周期震源スペクトル強度と地震モーメントの関係について調べた.その結果,この地震群の場合にも,地震の相似性が厳密には成立していないことが明らかになった.規模の大きい地震の方が,単位モーメント当りにして,地震の相似則から期待されるよりも多くの短周期波動エネルギーを放出している.この結果は前年度までに解析した鳥取県西部地域,鹿児島県北西部地域,および宮城県北部地域で発生した地震についての結果とほぼ同じである. 前年度までに解析した地震群についての結果も併せて,「地震の相似則からのずれ」が「経験的グリーン関数法による強震動予測結果」にどの程度影響するかについて評価した.マグニチュードが2程度小さい地震の際の観測記録を用いて,「地震の相似則」を仮定して強震動予測を行うと,地震動の大きさを1/2程度に過小評価する可能性がある.従って,将来の大地震に対する強震動予測の際には,地震の相似性からのずれを適切に補正する必要がある.
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Research Products
(2 results)