2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14550483
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中村 俊一 東海大学, 工学部, 教授 (40297198)
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Keywords | 腐食 / 吊橋ケーブル / 残存強度 / 水素ぜい化 / 疲労強度 / 亜鉛メッキ / 表面粗度 / 斜張橋ケーブル |
Research Abstract |
腐食した橋梁ケーブルの残存強度に関しては、米国において研究が実施されており、腐食した亜鉛メッキ鋼線は初期値に対し、静的な引張強度はあまり低下しないが、伸びが小さいことがわかっている。また、亜鉛メッキ鋼線の破断は水素ぜい化が原因であると推定されているが、立証に至っていない。腐食ケーブルの残存強度を把握するためには、引張強度および伸びのみでは不十分である。亜鉛メッキ鋼線のねじり強度も重要であり、これに起因するぜい性破断の一種であるデラミネーションが生ずることもある。また、吊橋ハンガーや斜張橋ステーには、交通荷重や風荷重により繰り返し応力が加わり、疲労問題が生ずる可能性がある。また、腐食の程度により、これらの機械的強度が異なることが予想される。 本年度は、昨年に引き続いて、亜鉛メッキ鋼線単体を対象とし、4種類の腐食レベル(初期、亜鉛メッキのみの腐食、鉄錆の発生時、鉄錆の発展時)の試験体を作成した。そして、それらの引張強度、伸び、ねじり強度、デラミネーション、疲労強度を測定し、これらの試験結果より、腐食レベルと強度との関係を見いだした。さらに、亜鉛メッキ鋼線に含有されている水素は、ぜい化を促進し、疲労強度を低下させる(応力腐食疲労)可能性がある。しかし、これまで腐食した亜鉛メッキ鋼線の水素量の測定は報告されていない。そこで、本研究では、上記4腐食レベルの試験体の含有水素量を測定し、腐食レベルとの関係を調査した。本年度はとくに疲労試験および水素量の測定を重点的に実施し、論文発表した。 実際に橋梁に使用されていた橋梁ケーブルの腐食状況の調査も実施した。米国のBear Mountain Bridgeから撤去されたハンガーロープの一部およびBenjamin Franklin Bridgeの破断した亜鉛メッキ鋼線を入手した.これらの吊橋は約80年前に建設されており、これらの実際の腐食ケーブルを調査することはきわめて有意義である.ケーブル外観の腐食度、ストランド内部の腐食度、電子顕微鏡による破断面、亜鉛メッキ鋼線の機械的・化学的性質を調査した。昨年度は準備的な調査を実施したが、本年度は詳細に調査し、論文にまとめた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鈴村恵太, 中村俊一, 樽井敬三: "吊橋ケーブル鋼線の破断原因に関する一考察"土木学会論文集. No.738,I-64. 297-306 (2003)
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[Publications] 鈴村恵太, 中村俊一: "Environmental factors affecting corrosion of galvanized steel wires"Journal of Materials in Civil Engineering, ASCE. Vol.16,No.1. 1-7 (2004)