2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸性雨の長距離輸送モデルとその酸性降下物が樹木の生育に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
14550507
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
長谷部 正彦 宇都宮大学, 工学部・建設学科, 教授 (80042307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 善晴 宇都宮大学, 工学部・建設学科, 助手 (80344901)
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Keywords | 酸性雨 / 湿性沈着量 / 酸性降下物 / 火山活動 / イオン濃度 |
Research Abstract |
1.研究の背景・目的 酸性雨による影響はヨーロッパ,北米,中国,東南アジアなど世界的な規模で発生している.一方,日本においては生態系への明確な影響は見られていないものの,欧米並みの酸性雨が観測されているため,将来的に酸性雨の影響が顕在化する可能性が高く,早急な対策が求められている.そこで,本研究では酸性降下物に着目し,その湿性沈着による降雨への影響について検討した.主な解析対象は栃木県内とし,酸性物質の湿性沈着量及び降水中のイオン濃度の時間変化や季節変動,地理的分布について解析を行い,酸性降下物の分布特性解明を試みた. 2.湿性沈着量に関する解析 酸性雨による湖沼・土壌などへの影響は,沈着する酸性物質の量によって決まると考えられるため,濃度ではなく沈着量による評価が重要である.1999〜2002年度のNO_3^-及びSO_4^<2->の各湿性沈着量の時間変化について見たところ,両イオンに共通して,夏季から秋季にかけて沈着量が多く,冬季から春季にかけては少ない傾向にあった.これは季節的な降水量の変動によるものと考えられる.また,観測地点別に見ると,県北から県南にかけて沈着量は多くなり,NO_3^-及びSO_4^<2->濃度との関連性が示された. 3.三宅島の噴火による影響 ここで,SO_4^<2->沈着量に関しては,2000年8月に発生した三宅島の噴火による影響が考えられる.三宅島の噴火では,極めて大量のSO_2が放出され,関東南部などでは2000年9月以降SO_4^<2->沈着量の急激な増加,また降水のpHの急激な低下といった,噴火活動が要因と見られる酸性雨への影響が報告されている.三宅島の北方約250kmに位置する栃木県内においても,2000年9月にSO_4^<2->沈着量が急激に増加しており,三宅島の噴火に起因する可能性が高いことが明らかとなった.現在,三宅島の火山活動によるSO_2放出量は長期的に見て低下傾向にあるが,未だ日量3千〜1万トンもの放出量が続いている.今後三宅島の火山活動について解析を行い,栃木県の酸性雨へ与える影響について検討する予定である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 太田 雅人 他: "栃木県内における酸性降下物の分布特性についての研究"土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集. 第2部門(CD-ROM). (2004)
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[Publications] 為我井 浩 他: "酸性土壌がスギ,コナラ,シラカシの生長反応に与える影響の実験的研究"土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集. 第7部門(CD-ROM). (2003)
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[Publications] 河田 康弘 他: "酸性土壌がスギ,コナラ,シラカシ苗の生長反応に与える影響の実験的研究"土木学会第58回年次学術講演会講演概要集. 第7部門(CD-ROM). (2003)
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[Publications] 長谷部 正彦 他: "栃木県内の湿性沈着量と人工酸性化土壌がスギ,コナラ,マテバシイの苗木の生長に及ぼす影響"水文・水資源学会誌. 14-1. 3-12 (2001)
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[Publications] 粂川 高徳 他: "大気中の硫黄酸化物濃度場の推定を用いた降雨による除去過程解明の試み"環境システム研究論文講演集. 449-454 (2000)
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[Publications] 長谷部 正彦 他: "栃木県内における酸性降下物の分布特性"土木学会水工学論文集. 44. 1137-1142 (2000)