2003 Fiscal Year Annual Research Report
構造的・心理的方法による持続可能な都市交通戦略に関する国際比較研究
Project/Area Number |
14550525
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
松本 昌二 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80115120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 可寸志 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00215881)
|
Keywords | 持続可能な都市交通 / バス交通優先 / 意識調査法 / 発展途上国 / 社会的ジレンマ |
Research Abstract |
本研究は、先進国日本と開発途上国インドネシアの地方都市(新潟市、長岡市、ジョグジャカルタ市等)を対象とする比較研究である。通勤交通を主体として,一般的な環境意識、および都市交通問題,交通手段利用の意識を調査分析して、社会心理面での2国間の相違を明らかにする。このような2国間の心理的相違と構造的な要因を関係づけることによって、持続可能な都市交通を目指したウィンウィン(Win-Win)戦略を抽出することが目的である。 先進国における社会心理学を応用した研究事例・調査方法のサーベイを行い、それをベースとして環境保全、自動車交通の抑制、バス交通の優先(バス専用レーン、補助金)等に関する受容意識を抽出するための質問を作成した。さらに、仮想的な交通手段(代替案)を提示して選択する意識調査法(SP法)の質問を加えて、2国に共通なアンケート調査票を設計した。日本の新潟市、インドネシアのジョグジャカルタ市(以上14年度実施),およびバンジャルマシン市(カリマンタン)(15年度実施)において,市民アンケート調査を実施した。新潟市のケースでは、都心部に従業する通勤者を対象としてアンケート調査を実施し、共分散構造方程式モデルによりバス優先施策受容の心理的因果構造をバス図で示し,さらに非集計手段選択モデルとの統合を行った.バス優先施策の受容には,車利用からの転換期待や公正と忍耐が手段選択に影響を及ぼすことが判明した。ジョグジャカルタ市のケースでは、自動車・バイク利用者300人のデータを分析し,交通手段選択と所得との相関が高く,環境意識の高揚など心理的方策が手段選択に影響を及ばさないこと,かつエアコン付きバスなど公共交通の利便性・快適性を向上させる構造的施策が有効であることが判明した.日本のような社会的先進国では,心理的施策は受容意識や交通手段選択に影響を及ぼす有効な施策となり得るが,発展途上国のインドネシアでは適合しないことが明らかとなった.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 岩貞直人, 松本昌二: "社会的ジレンマ解消のためのバス優先施策の受容意識"土木計画学研究・講演集. 27. 147 (2003)
-
[Publications] Sutomo, H., Sugiyanto, Istiyanto, B., Matsumoto, S.: "Psychological Factors Affecting Travel Mode Choice(Case : Bus-Lane Plan for Yogyakarta, Indonesia)"Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies (EASTS). 5. 1447-1462 (2003)