2003 Fiscal Year Annual Research Report
地方鉄道が地域に及ぼしている影響の計測と存廃問題の論点・経緯の評価に関する研究
Project/Area Number |
14550526
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川上 洋司 福井大学, 工学部, 教授 (10152927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 広一郎 福井大学, 助教授 (90323914)
川本 義海 福井大学, 助手 (20334807)
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Keywords | 地方鉄道 / 交通行動変化 / 生活活動変化 / 影響効果分析 / 意識・意向調査 / 鉄道利用促進 |
Research Abstract |
本年度は,2年余りの運行休止を経て「えちぜん鉄道」として新しい形態で運行再開された機会を捉え,再開後の利用特性や運行再開によってもたらされた地域への影響・効果の把握,休止から再開に至るまでの地域における議論の展開の精査等を通して,今後の地方鉄道のあり方について検討した.具体的な研究内容及び得られた主要な成果は,下記のとおりである. (1)運行再開後のえちぜん鉄道利用者及び沿線住民に対するアンケート調査を実施し,「京福運行時-電車運行休止・代行バス運行時-えち鉄としての運行再開後(現在)」といった3つの状況下における人々の交通行動・生活活動,意識面の変化について分析した.その結果,地方鉄道の運行休止・再開が人々の交通手段選択だけでなく,それを通して生活活動面にも多大な影響を及ばしたこと,利用者のみならず非利用者に対しても送迎機会の増減や心理面的負荷の増減といった面で影響を及ばしたこと等が実証された. (2)3つの状況下における鉄道・代行バス利用の有無から,沿線住民を5つの層(電車バス継続利用層・電車再利用層・電車新規利用層・電車離れ層・非利用層)に分類し,各層の属性,生活行動実態と影響感,鉄道に対する利用意向や意識について比較分析した.その結果.今後の利用意向やニーズを含めて種々の面において各層間で差異が見られること,非利用者層においても鉄道に対する関心の変化,必要性認識の高まりが見られること,従って各層をマーケットセグメントしたきめ細かな対応が効果的な利用促進に結びつきうること等を明らかにした. (3)えちぜん鉄道が上下分離による地域で支える新たな仕組みのもとで再開された経緯と背景を詳細に探るために,関連する地元新聞記事を抽出・データベース化して分析を行った.その結果,時間経過の中での地域住民の鉄道に対する関心の広がりと議論の深まりが,行政を含む様々な関連主体間の調整を促し鉄道再開を導いたこと,その背景には突然の運行休止が人々に鉄道の存在意義を様々な点で実感させたこと,市民グループの活動が大きく貢献したことにあること等を明らかにした. (4)最後に以上の結果を総括し,地域における社会的資本として鉄道を位置づけ,維持存続させるために公的財源を投入することの妥当性についての考え方を仮説として提示した. なお、以上の成果については講演・シンポジウム等で公表したが、今後研究論文として取りまとめて発表する予定である.
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