2002 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な交通ネットワーク計画を歪める習慣的行動メカニズムの解明
Project/Area Number |
14550532
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩倉 成志 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (20223373)
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Keywords | 習慣行動 / 知覚誤差 / 交通行動 / 経路選択 / 離散選択モデル / 交通ネットワーク / 需要定着過程 / 習慣強度 |
Research Abstract |
近年、交通施設整備の事業採択の判断は、費用対効果分析の結果に左右されるが、その信頼性は、交通需要の予測値、時間価値や大気汚染、騒音等の社会的費用原単位の精度、建設費と建設期間の見通しに依存することが大半である。一般に、交通行動モデル、社会的費用原単位ともに実行動データを用いて作成することが望ましいとされているが、被験者に知覚バイアスが発生している状態でパラメータを推定し、知覚バイアスの発生構造を同定しないまま将来予測を行ったり、社会的費用を推定すれば、誤った分析結果となることは自明であり、それをもとにした交通ネットワーク計画は社会的に大きな損失をもたらす。筆者は、習慣的行動による情報探索の低下が、知覚バイアスを発生させる大きな要因と考えている。 本年度は、都営12号線を対象に、需要定着過程における習慣行動のメカニズムについて検討を行った。まず、短期的な知覚誤差の発生メカニズムについて検討した後、Web調査によって、大江戸線利用者と非利用者で大江戸線を代替経路とすることが可能な被験者を2803名抽出し解析を行った。 この結果、利用経路に対しては60%強が正確(-5〜+5分)に知覚しているのに対し、代替経路に対しては、40%前後しか正確に知覚していないことがわかった。また、所要時間、待ち時間、乗換え時間別に通勤トリップの知覚誤差分布と知覚誤差の平均値の経年変化をみたところ、所要時間については、利用年数による知覚誤差の収束が明確でないが、待ち時間と乗換え時間については利用を重ねるに従って知覚誤差が小さくなる傾向がわかった。また、私用トリップでは、所要時間、待ち時間の経年的な誤差縮小傾向が明らかになることがわかった。
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