2003 Fiscal Year Annual Research Report
STI値を指標とする凝集沈澱と強化ろ過との併用による浄水処理の高効率化
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14550538
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
海老江 邦雄 北見工業大学, 工学部, 教授 (10001223)
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Keywords | 凝集沈殿 / 急速ろ過 / ポリ塩化アルミニウム(PAC) / ポリシリカ鉄凝集剤(PSI) / 吸引時間比(STIまたはSTR) / 急速撹拌強度(G_R値) / ゼータ電位 / 微フロック径 |
Research Abstract |
前年度の凝集沈澱実験から、急速撹拌強度G_R値の上昇による適正化が、粒子分離効率の高効率化に重要であることが明らかになった。今年度は、G_R値の適正化に伴う微フロックの物性変化から、高効率化の発現機序を基礎的に解明しようと挑戦した。その結果、得られた知見は次の通り。 1)G_R値の変動に伴う微フロックの顕微鏡観察から、低G_R値で形成されたフロックは表面の凹凸が激しく低密であったが、G_R値の上昇に伴って、そのサイズと表面の凹凸とが減少して、高密化することが分かった。 2)顕微鏡観察された10μm以上粒子の二値化画像面積と等価な円の径及び円形率の測定から、微フロックの円等価径は、PAC注入率が低いほど、高G_R値の場合ほど小さくなった。また、円形率はPAC注入率が低いほど、高G_R値の場合ほど大きく円(三次元的には球)に近い形となった。 3)微フロックのゼータ電位の測定から、G_R値1,000s^<-1>近辺まではG_R値の上昇に伴って電位は上昇した。また、PAC注入率を上昇させるほど電位は上昇した。しかしながら、G_R値1,000s^<-1>を超えると、電位は徐々に低下し始めた。こうしたG_R値の上昇に伴う電位の動きは、凝集沈澱後に残留するアルミニウム濃度及びSTR値の動きに類似した。 4)これらの結果から、G_R値の上昇による適正化を行なうと、微フロックに多数の濁質粒子と多量の凝集剤とが取り込まれ、径は小さいが密度が大きい微フロックの形成が促進される。そのために、凝集沈澱処理後の濁度及びSTR値が改善されるという粒子分離の高効率化機序が明らかになった。 5)こうしたG_R値の適正化による凝集沈澱の処理性改善技術は、PAC以外の凝集剤使用時、低水温原水の処理時、有機物を含めた凝集沈澱処理など、広範な用・排水処理に適用できる有効な技術と考えられ、それらの検証が今後の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 海老江 邦雄: "鉄系凝集剤による濁質処理の効率化に関する基礎的研究"水道協会雑誌. 72巻7号. 2-13 (2003)
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[Publications] K.Ebie: "Reducing turbidity and coagulant residue in treated water through Optimization of rapid mix conditions"Water Science and Technology : Water Supply. Vol.2 No.5-6. 103-110 (2002)