2002 Fiscal Year Annual Research Report
高度浄水処理における臭素酸生成シミュレーションモデル開発に関する研究
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14550547
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
茂庭 竹生 東海大学, 工学部, 教授 (30056163)
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Keywords | 浄水処理 / 高度浄水処理 / 促進酸化法 / オゾン処理 / 消毒副生成物 / 臭素酸 / ヒドロキシラジカル / シミュレーションモデル |
Research Abstract |
浄水処理のオゾン処理における副生成物のうち、無機の副生成物である臭素酸は発ガン性が指摘されており、その生成抑制が急務の課題となっている。本研究の目的は、水道原水中の臭化物イオンがオゾン処理あるいは促進酸化処理においてどのような過程を経て臭素酸に酸化されていくのかを明らかにし、その生成過程のシミュレーションモデルを構築することにある。本年度はその基礎研究として純水中に臭化ナトリウムを加えたものを原水として、オゾン酸化で臭素酸を生成し、本研究で構築したシミュレーションモデルの検証を行った。モデルは拡張SBHモデルをベースとし、文献検索により多くの研究者が提示している臭素酸生成に関する素反応をピックアップし、そのうち反応速度定数が明らかになっているもののみをベースとして構築した。その結果、臭化物イオンがオゾンにより臭素酸にまで酸化される経路は3経路存在し、その過程に溶存オゾンおよびヒドロキシラジカルが大きく関与していることが明らかとなった。また、本研究で構築したモデルはリン酸緩衝液でpHを一定にコントロールしたときは比較的実験値との整合性がよいが、pH制御を行わないとpHの変化を再現できないという欠点があることが判明した。これはモデルに組み込む素反応を文献に依存し、しかも反応速度定数が明らかになっているものに限定したため、生成過程で極めて重要な役割を果たすと考えられる次亜臭素酸の挙動が再現できなかったためと考えられる。今後は次亜臭素酸の還元に関する反応を加え、モデルを修正する必要があると考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 前出繁次, 茂庭竹生他: "促進酸化処理による有機物の除去性と臭素酸イオンの生成抑制効果"水道協会雑誌. Vol.71, No.5. 14-25 (2002)
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[Publications] 林禾, 茂庭竹生: "促進酸化法におけるTHM前駆物質の挙動"第53回全国水道研究発表会講演集. 260-261 (2002)
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[Publications] 青木未知子, 茂庭竹生他: "水道原水によるオゾン処理、促進酸化処理基礎実験"第53回全国水道研究発表会講演集. 264-265 (2002)
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[Publications] 岡正樹, 茂庭竹生: "オゾン処理における臭素酸生成モデル"第53回全国水道研究発表会講演集. 266-267 (2002)
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[Publications] 岡正樹, 茂庭竹生: "次亜臭素酸の還元を考慮した拡張SBHモデルの改良"第12回日本オゾン協会年次研究講演会講演集. 25-28 (2002)
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[Publications] 林禾, 茂庭竹生: "三次元励起・蛍光光度法による促進酸化法における有機物質の変化"第12回日本オゾン協会年次研究講演会講演集. 132-135 (2002)