2002 Fiscal Year Annual Research Report
畜産廃棄物処理メタン発酵槽内の指標微生物の動向と消化液の土壌還元に伴うリスク評価
Project/Area Number |
14550553
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
上村 繁樹 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (60300539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 晶良 長岡技術科学大学, 環境システム工学系, 助教授 (70169035)
帆秋 利洋 大成建設(株), 技術センター・土木研究所・生物工学研究室, 課長
高橋 克夫 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (20005490)
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Keywords | 畜産廃棄物 / メタン発酵 / 指標微生物 / 大腸菌群 / ふん便性大腸菌群 / ふん便性連鎖球菌 / 大腸菌ファージ |
Research Abstract |
本研究では、畜産廃棄物を処理するフルスケールメタン発酵プラントにおける指標微生物の挙動を調査した。プラントは、受入槽、中温メタン発酵槽(37℃、滞留時間30日)、殺菌槽(70℃、滞留時間1時間)、消化液貯留槽(2500m^3x3基)などからなる。プラントの計画受入量は、牛ふん尿45.4t/日、生活系・水産系・農業系残滓4.6t/日の計50t/日とし、COD容積負荷は6kg-COD/m^3・日である。プラントのスタートアップは、植種汚泥として、2%消石灰添加ラグーン汚泥を用い、13〜37℃まで温度を上昇させた後牛ふん尿の投入を開始した。各段階における指標微生物の調査項目は、大腸菌群、大腸菌ファージ、アメリカのEPAにおいて下水汚泥を土壌還元する際に基準が設けられているふん便性大腸菌群、およびデンマークにおいて畜産廃棄物のバイオガスプラントの衛生学的指標として推奨されているふん便性連鎖球菌とした。 本実験では、プラントのメタン醗酵槽内の温度が37℃に安定した日を運転0日目とした。116日目以前は、受け入れ牛ふん尿の不足により、主に近隣の牧場から得たラグーン汚泥をメタン醗酵槽に投入した。また、投入量が計画投入量よりも少なかったため、実際のCOD容積負荷は1kg-COD/(m^3・日)程度と計画COD容積負荷の約1/6という運転状況にあった。 一例として受入槽、中温メタン発酵槽、殺菌槽の各段階における、ふん便性大腸菌群の変化について述べる。ふん便性大腸菌群は136日目を除き、結果的に殺菌槽において全ての場合検出限界以下まで除去された。アメリカのEPAでは下水汚泥を農地に還元する際の微生物基準をFCで2x10^6個/gTS以下としている。よって本プラントでは殺菌槽を経ることによりEPAの基準を十分に満たしていることが判明した。 各指標微生物の投入牛ふん尿に対するメタン発酵槽出口および殺菌槽出口における死滅率の結果から、メタン発酵槽出口、殺菌槽出口共に、ふん便性大腸菌群とふん便性連鎖球菌が最も良く除去され、次いで大腸菌群、大腸菌ファージの順で除去されていることが解った。
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