2002 Fiscal Year Annual Research Report
低成長時代における社会資本としての公共文化施設の効果と整備手法の適合性評価
Project/Area Number |
14550600
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 泰明 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00185654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 大洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70282118)
有川 智 国土交通省, 国土技術政策総合研究所, 主任研究官 (00212639)
菅野 實 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005366)
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Keywords | 外部性 / 舞台芸術施設 / PFI / 住民参加 / 拠点性 / 専門性 |
Research Abstract |
今年度の研究は大きく三段階に区分される。ひとつは、公共文化施設の効果を想定する上で不可欠であり、本研究でも鍵概念として重要視している「経済の外部性」を捕らえるため展開した基礎スタディである。文献スタディの成果に基づいて、経済学分野の研究者、PFIコンサルティング会社キーパーソンなどに対してヒアリングを行なって、調査の活用するための外部性の構成要素を整理した 二段階目として、1段階の理解に基づきつつ舞台芸術施設をケースとして外部性拡大のための条件を探るケーススタディを行なった。この分野において実際に外部性産出を行なっていると評価されている「第三世代型施設」を三箇所(黒部市国際文化センター、金沢市民芸術村、世田谷パブリックシアター)選定し、それぞれの収支状況、実際の運営状況、施設理念などを比較検討しながら、それらを際立たせている項目を抽出した。三段階目は実現手法に焦点を当てている。外部性担保の際に予想される既存整備手法の問題点を特に外部性の確保が極めて困難であるPFIをケースにその課題について整理した。 具体的には、研究において問題にすべき外部性は、経済波及効果(建設による直接効果、周辺地区への人の誘導、文化ビジネスのインキュベート)、教育的効果、コミュニケーシヨンの基盤提供に分けられること。「第三世代型施設」成立のためには、教育普及事業の積極的展開、住民参加、創造支援、まちづくりへの親和性、専門性、拠点性、そしてそれらに対応可能な開かれた施設計画などが重要であることをピックアップした。 PFIを題材としたシミュレーションによって、望ましい設計者選定フェーズを提示しながら、具体的な問題の所在を把握したので、次年度の調査展開においてこれら課題を随時発展させていく予定である。
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