2004 Fiscal Year Annual Research Report
低成長時代における社会資本としての公共文化施設の効果と整備手法の適合性評価
Project/Area Number |
14550600
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 泰明 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00185654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 實 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005366)
有川 智 国土交通省, 国土技術政策総合研究所, 主任研究官 (00212639)
坂口 大洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70282118)
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Keywords | 外部性 / 文化施設 / PFI / コミュニケーション基盤 / デザイン価値 / 事業者選定 |
Research Abstract |
初年度は外部性に関連のあると思われる施設の訪問調査と文献調査をあわせて、外部性が経済波及(建設事業、周辺への人の誘導、ビジネスインキュベーション)、教育、コミュニケーション基盤等にまとめられることを明らかにした。二年目は中山間地域の舞台芸術施設に対する事例調査を通して、対象施設が実際に世代間交流を促進させている状況を捉え、先に明らかにした外部性の内、コミュニケーション基盤が重要なことを知った。最終年度では、都市における情報施設を対象に事例調査を行った。それによると施設のデザイン価値の評価が高く、中山間地域とは違った方向でコミュニケーション基盤や教育といった外部性要素を支援していることが推察できた。このデザイン価値は、外部性の別要素である威信価値と反する方向性を持っており、外部性の項目間でも背反する性向があることを捉えた。 また、外部性を生み出しうる施設の評価項目が示す傾向は、既存の公共施設とは異なり、公園と商業施設という異なる傾向を示す両者の性質を併せ持っていることも明らかになり、これらから既存施設の枠組みの外に外部性を確保する鍵が潜んでいることがわかった。 最終段階として、ここまでの知を総合すると共に、低成長に適応した手法として期待されているPFIを例にどのような条件が整えるべきかをシミュレートした。その結果、既存の制度体系、資金調達、発注の方法と事業者選定、プロジェクト評価の4つの領域で乗り越えるべき問題があるという構造が明らかとなった。これらの内最も問題の多い領域が事業者選定であることを捉え、その具体的対策についても考察している。例えば、既存の会計法やWTOの下でも事業者選定を一般競争入札とはせず、コミュニケーションの余地のあるプロポーザルとする運用は可能で、外部性確保の可能性を高めるためにはそうした工夫が欠かせないことを論証した。
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Research Products
(2 results)