2002 Fiscal Year Annual Research Report
公共住宅団地の持続的環境移行におけるプロセスデザインの計画的研究
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14550602
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
延藤 安弘 千葉大学, 工学部, 教授 (30026116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森永 良丙 千葉大学, 工学部, 助手 (90312933)
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Keywords | 団地 / 対話 / 協働 / 合意形成 / プロセスデザイン / 段階的住棟整備 / コンテストグランド |
Research Abstract |
1.コンテストグランドの形成 ハード・ソフトの両面から様々なレベルの議論を行うためには、コミュニティデザイナー(まちづくりの専門家)による「対話のデザイン」が有効であることが、実践を通じて分かりつつある。「対話のデザイン」は以下3つからなる。(1)対話のプログラムデザイン:対話(議論)をする前に、ハード面からソフト面までいくつかの対話のテーマをバランス良く設定しておく。(2)対話のプロセスデザイン:各テーマの議論ごとに、おおよその今後の流れを想定し参加者に伝え、テーマに沿った情報収集や情報整理を管理組合に依頼しておく。(3)対話への参加者のコーディネート:専門家サイド、管理組合サイド、ともに多様な意見や立場の者が対話の場に参加できるように参加者のコーディネートを行う。 2.既存住環境の実態把握 筆者ら大学研究室と団地の管理組合で各家庭を訪問し、2時間に渡りライフヒストリーや将来の暮らしの希望などについて対話を重ねていった。とりわけ住民同士(調査者としての管理組合と被調査者としての一般住民)の対話からは、環境移行にあたって「住まい」と「まち」の両面に対して住民が改善したいものや大事にしたいものが、表層部分のみならず、深層部分まで踏み込んで明らかにすることができた。このことにより、合意形成時に重要となる「住民によって意味づけされた住環境」の実態把握とその手法構築の手掛かりを得た。 3.段階的住棟整備の仕組みづくり 分譲団地を対象にして、等価交換方式による全面建替と棟単位で行う多様な住棟更新の2つの手法を、それらに対する住民合意の視点から検証した。前者は経済性(等価交換の還元率を高めていく)ことで合意形成を進めて行くが、同時に住民意向の「多様性」を排除していくプロセスであることが分かった。後者は、棟ごとに異なる空間形態、改善手法、事業手法など特色をもたせることで、団地全体としては住民意向の「多様性」を反映させることが可能になることがわかった。さらにこの手法は、団地全体では住棟更新が漸進的に進むため、住棟更新と並行したまちづくり活動により、コミュニティ再生へのアプローチも可能であることがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小杉 学, 延藤安弘: "「フィールドセミナー」によるまちづくり教育のプロセス評価-大学におけるまちづくり演習を事例として-"日本建築学会技術報告集. 17号(採用決定). (2003)
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[Publications] 横山朋紀, 延藤安弘, 森永良丙, 小杉 学: "公団緑町パークタウンにみる思いの継承-参加型建替団地における環境移行に関する研究-"日本建築学会大会学術講演集E-2. 213-214 (2002)
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[Publications] 新井信幸, 延藤安弘, 森永良丙: "団地建て替えにおける提案プロセスが育む住民の計画の力に関する研究-高根台団地建て替え計画における間取りの検討について-"日本建築学会大会学術講演集E-2. 215-216 (2002)
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[Publications] 小杉 学, 延藤安弘, 森永良丙, 江〓待子: "自律性と発展性からみたコラボレーション・プロセスの評価-住民主体の公団団地再生活動に関する研究(4)-"日本建築学会大会学術講演集E-2. 367-368 (2002)
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[Publications] 江〓待子, 延藤安弘, 森永良丙, 小杉 学: "創造的合意形成からみたコラボレーション・プロセスの評価-住民主体の公団団地再生活動に関する研究(5)-"日本建築学会大会学術講演集E-2. 369-370 (2002)