2003 Fiscal Year Annual Research Report
公共住宅団地の持続的環境移行におけるプロセスデザインの計画的研究
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14550602
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森永 良丙 千葉大学, 工学部, 助教授 (90312933)
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Keywords | 大規模分譲集合住宅団地 / 公団 / 団地再生 / 合意形成 / 棟別建替え / 複数住戸所有 / 高齢社会 / 居住者参加 |
Research Abstract |
1.多様な意向を活かす合意形成手法 大規模分譲集合住宅団地の建替えにおいては、多様な意向を活かす合意形成が求められる。このような観点から、住戸交換を活用することで「建替え参加者」「建替え非参加者」共に住み続けられる棟別建替え手法の可能性について検討を行りた。「単独型」棟別建替えでは、団地全体によって住戸交換を調整するマネジメントが必要不可欠であることが分かった。一部敷地売却を含む「ゾーン型」は、多様な意向を活かすという意味では可能性が高いものの、一方では敷地売却自体に様々な隘路が存在し、その解決が求められることが分かった。 2.複数住戸所有・近居隣居の実態把握 N団地のケーススタディからは、合意形成面から建替えが非常に困難な郊外の大規模分譲集合住宅団地では、中古物件価格の下落を背景として、複数住戸所有や近居隣居、所有住宅の賃貸活用等によるライフスタイル・ライフステージの変化への対応が創造的に行われており、その有効性に対する評価も非常に高いことが分かった。 3.現行の公団団地再生事業が及ぼす高齢社会への影響 公共住宅においては、高齢社会に対応した居住環境づくりが求められている。そこで、全面建替え型再生事業が行われている大規模賃貸集合住宅団地を対象に、既存団地の居住実態と再生事業・計画の内容を調査・分析し、団地再生が高齢社会に及ぼす影響について考察を行った。その結果、現行の全面建替え型再生事業は、(1)高齢者支援システムの発展の可能性と衰退の危機の両面を有すること、(2)地域社会の高齢化を助長していることなどが明らかとなり、団地再生計画の見直しの必要性とその方向性について知見を得た。 4.公団団地再生計画おける居住者参加の有効性 大規模賃貸集合住宅団地において再生計画づくりに居住者が主体的に参加することで、(1)高齢者の生活支援拠点づくりにおいて、ハードの計画とソフトの運営計画が相互触発しながら創造できること、(2)個の発想からの計画づくりによって共生型住宅への素地がつくられること、等の有効性が明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小杉学, 延藤安弘: "「フィールドセミナー」によるまちづくり教育のプロセス評価-大学におけるまちづくり演習を事例として-"日本建築学会技術報告集. 17号. 459-464 (2003)
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[Publications] 小杉学, 延藤安弘, 小林秀樹, 森永良丙: "大規模分譲集合住宅団地再生計画における基本構想づくりの研究-西小中台団地における「学習段階」の実践プロセス-"日本建築学会計画系論文集. 571号. 33-40 (2003)
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[Publications] 江崎待子, 延藤安弘, 小林秀樹, 森永良丙, 小杉学: "等価交換方式による全面建替の検討プロセスの評価-大規模分譲住宅団地再生計画における基本構想づくりの研究(1)-"日本建築学会大会学術講演集F-1. 1349-1350 (2003)
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[Publications] 小杉学, 延藤安弘, 小林秀樹, 森永良丙, 江崎待子: "生活者の多様な立場と価値観を尊重した団地再生の構想-大規模分譲住宅団地再生計画における基本構想づくりの研究(2)-"日本建築学会大会学術講演集F-1. 1351-1352 (2003)
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[Publications] 新井信幸, 延藤安弘, 小林秀樹, 森永良丙, 渡辺志保, 石井祥一: "郊外大規模団地の建替えがもたらす地域社会への影響-高齢社会における公団賃貸住宅団地の再生計画に関する研究(その1)-"日本建築学会大会学術講演集E-2. 401-402 (2003)
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[Publications] 石井祥一, 延藤安弘, 小林秀樹, 森永良丙, 新井信幸, 渡辺志保: "団地建替えプロセスにおけるコミュニティ・マネジメントの発展に関する考察-高齢社会における公団賃貸住宅団地の再生計画に関する研究(その2)-"日本建築学会大会学術講演集E-2. 403-404 (2003)