2002 Fiscal Year Annual Research Report
住宅、福祉の両側面からみたケアハウスの計画に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14550608
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 助教授 (20136154)
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Keywords | ケアハウス / 住居機能 / 福祉機能 / 住み方 / 経年変化 |
Research Abstract |
本年度は、以下に述べるようにA, B二つのケアハウスにおける入居者調査等を実施し、その結果から(1)住居機能と(2)福祉機能というケアハウスの二つの側面について検討した。 1 目的と方法:Aケアハウス(定員50名、回答者35名)では、入居者全員を対象として、1993年の開設直後と1996年とすでに2回の入居者調査を実施している。本年度は3回目の調査を実施し、まず、現時点における一人ひとりの入居者の要介護程度や生活実態とAケアハウスの(1)住居機能と(2)福祉機能との対応関係を検討した。また、同一対象者について3回の調査が継続して実施できた16名の事例について、要介護程度の変化と、それに伴う生活実態、中でも住み方実態の変化と(1)住居機能と(2)福祉機能との対応関係を検討した。次に、Bケアハウス(定員30名)では、1993年の開設以来、調査日(2002年12月)までの9年間に退居した全員の退居理由や退居に至までの経緯について、職員を通した聞き取り調査を行うことによって、ケアハウスの(2)福祉機能について考察した。 2 結果:1)入居者の住要求としては、専用居室に関して「独立した寝室の確保」が強く望まれていることがわかった。これは来客を自宅へ呼べるかどうかに強く関わる。2)9年間の経年変化の結果から、自立程度がほとんど低下しなかったケースであっても、床座からイス座への変更も含めて、家具の増加が目立つ。低下が認められた場合には、さらに、布団の敷きっぱなしやベッドの導入、居室内簡易トイレの設置等、家具やモノの増加が著しいことから、ゆとりのある居住スペースの確保が重要である。その他、3)プライバシーの守られる防音計画の必要性。4)余暇活動の充実する環境作り等が必要である、5)今日の老人ホーム体系の中でのケアハウスは、要介護程度によって転居を余儀なくされるが、それに対応するためには、介護機能の範囲についてあらかじめ明示することや転居先の確保が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小川正光, 小川裕子, 斎藤光代: "「高齢者住宅」における住戸平面の類型化と計画原則の検討-デンマークの「高齢者住宅」に関する研究その1-"日本建築学会計画系論文集. No.560. 81-88 (2002)
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[Publications] 小川裕子, 増田香織: "高等学校「家庭一般」住生活学習において高齢者の視点を取り入れた教材開発・授業実践研究の試み"年報・家庭科教育研究. 第28集. 10-19 (2002)