2002 Fiscal Year Annual Research Report
シルバーハウジングに居住する虚弱高齢者の生活支援ニーズとLSAの役割
Project/Area Number |
14550628
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
児玉 善郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (80243327)
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Keywords | 高齢者住宅 / 生活支援サービス / 日常生活支援 / 復興公営住宅 / 自立生活支援 / 安否確認 / 緊急時対応 |
Research Abstract |
兵庫県芦屋市の南芦屋浜団地に、215戸供給されているシルバーハウジングにおいては、安否確認、緊急時対応、および日常生活支援サービスの担い手として、LSA(生活支援員)が24時間体制で団地内に常駐し対応している。全国のシルバーハウジングの中でも、他に例をみない運営が行われているといえる。阪神・淡路大震災後の1997年に復興公営住宅として供給され、すでに5年あまりが経過している。この間、入居している高齢者の心身の健康状態は、年を追うごとに悪化してきており、LSAの役割は重要度をさらに増してきている。しかし、215戸のシルバーハウジングに対して、日中5人、夜間2人のLSAの配置では、安否確認、緊急時対応、日常生活支援サービスのいずれをとっても、十分な対応ができない状況が把握されている。 そこで、本年度の研究においては、LSAがシルバーハウジング居住者に対して、日常的に提供しているサービスや安否確認の内容を詳細に調査することにより、シルバーハウジングにおける居住者の生活を成り立たせる上での役割と意義および問題点についての分析、考察を行った。さらに、現状においてLSAが果たす役割の評価を踏まえて、今後のLSAの配置、運営のあり方についての基礎的検討を行った。具体的には、居住者が生活上の支援を必要とする事項や不安感からくる相談相手をLSAに求めるといった支援ニーズの発生は、夜間の頻度の方が多く、24時間体制でのLSA配置が重要であることが把握できた。また、団地にはシルバーハウジング以外に、一般住戸が600戸併設されており、そこにはシルバーハウジング居住者と変わらないような生活支援ニーズを抱えた高齢者が居住しており、LSAに対して様々な相談や支援要請を依頼している実態にあることが把握された。高齢化の進展にともない、シルバーハウジングと一般住戸が併設されている場合には、LSAの日常業務、運営に大きな負担をかけ、LSAのオーバーワークにつながっているという問題点が指摘できる。
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