2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代合理主義と伝統的有機性の対立と調整に関する空間システム論的研究-1930年代のドイツ近代建築家の国外での活動を事例として-
Project/Area Number |
14550637
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉本 俊多 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00127664)
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Keywords | ブルーノ・タウト / ミース・ファン・デル・ローエ / 1930代 / 有機主義 / 伝統性 / 多様性 |
Research Abstract |
ドイツ人建築家の1930年代における建築活動について、これまでの2年間の成果を補足するために、ドイツ、特にベルリン市、マグデブルク市での調査を実施した。ベルリン市では芸術アカデミーにおいてブルーノ・タウトの残した著作原稿等の調査と研究資料収集を行い、またバウハウス資料館においてミース・ファン・デル・ローエのベルリン・バウハウスにおける設計教育の図面資料を調査した。併せてベルリン・バウハウス跡、ミースの住宅作品の実地調査を行った。マグデブルク市では1910、20年代のタウトの公共建築作品、ジードルンク、また各種建築物の構想案敷地、およびミースの1930年代の住宅構想案敷地の実地調査を行った。 その結果、タウトの建築作品からは1910年代から1930年代に至る変遷において、表現主義から多様性志向の造形手法に転換する過程を確認し、また著作原稿等からはロシア時代から日本時代にかけての建築理論の変化を確認した。またミースの住宅構想案等からは、壁体によって内外空間を遮断する「コートハウス」の住宅類型の形成と開放性から閉鎖性への転換過程を確認し、1930年代のタウトと比較した。 研究室作業としては、タウトの1930年代における日本でのジードルンク構想について詳細な建築形態、景観デザイン等の分析を行い、表現主義期のジードルンク観をもとに日本の伝統的建築の特性を融合して、有機的な居住空間のシステムを創造していたことを確認した。またトルコ時代における建築作品の形態分析を行い、モダニズムの基盤に立ちつつ、ヨーロッパの古典主義、日本的な非対称の形態特性、トルコの伝統的建築要素を融合する混成的な造形方法を開拓していたことを確認した。
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Research Products
(2 results)