2002 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランド建築のユーゲントからモダニズムへの移行過程に関する歴史的研究
Project/Area Number |
14550639
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 大介 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (60203147)
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Keywords | 近代建築 / ユーゲント / ナショナル・ロマンティシズム / エリエル・サーリネン / モダニズム / アルヴァー・アールト |
Research Abstract |
研究初年度の研究基盤を固める作業として、予定どおり国内外の資料を探索し、またすでに所有している資料の整理に着手した。補助員を利用して、大学研究室に設置されたパーソナル・コンピュータおよび周辺機器の活用で、図版資料のデジタル化による保存とデータベース化を進め、一部が完了した。 具体的な事例に関する研究分析も開始した。研究期間中には、私費によるヘルシンキその他フィンランド各地への視察旅行は実現できなかったが、以前に訪れたことのある事例を扱うこととした。ユーゲント期とモダニズム期をつなぐ時期に建設されて、フィンランド建築がヨーロッパ一般とは異なった方向性に進んだシンボルとも目されるヘルシンキ・カピュラ地区の住宅地をまず取り上げて、その性格を分析し、影響力の大きさを評価する試みを行なった。 研究過程で次第に明らかになった可能性として、フィンランドのモダニズム建築が継承しているものは、当初から想定していた前代のユーゲント建築ばかりではなく、より古い伝統的な建築物もそこに含まれる点があった。そのため、別の論考の中で、広義の地域環境が建築に及ぼしている影響を評価するために、中央フィンランド地方の建築伝統と20世紀の建築家アールトのつながりに関する考察も行った。 最終年度となる来年度の研究においては、資料のデータベース化を継続しつつ、一方で上述した今年度の個別の成果を総合して、大きな視点からまとめてゆく作業に取り組む予定である。
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Research Products
(2 results)