2003 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランド建築のユーゲントからモダニズムへの移行過程に関する歴史的研究
Project/Area Number |
14550639
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Research Institution | HOKKAIDO TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 大介 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (60203147)
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Keywords | 近代建築 / ユーゲント / ナショナル・ロマンティシズム / エリエル・サーリネン / モダニズム / アルヴァー・アールト |
Research Abstract |
まず、研究初年度からの作業を継続して、今年度も予定どおり国内外の資料を探索し、またすでに所有している資料の整理を行った。補助員を利用して、大学研究室に設置されたパーソナル・コンピュータおよび周辺機器の活用で、図版資料のデジタル化による整理と保存を進め、さらに完成に近づけた。 全体的な総論のとりまとめに先立ち、具体的事例に関する個別研究を行なった。フィンランド・モダニズムを理解するためには、それ以前のフィンランド・ユーゲントから継承された要素を跡づけるとともに、一方で同時並行して展開されたスウェーデン・モダニズムとの比較も重要であるとの立場から、建築家G.アスプルンドに注目した。そして、アスプルンド・セミナー(2003年7月)にパネラーとして参加し、さらに私費によるスウェーデンのストックホルム周辺へのアスプルンド作品視察旅行(2003年8月)を実現させた。 昨年度および上記のような今年度の個別事例研究を踏まえて、今回の2年間の研究の成果として、最終的な報告をまとめた。ユーゲント期からモダニズム期への移行において、建築の表面上の姿が大きく変化する一方で、その背後にある理念である「ナショナル・ロマンティシズム」は不変であることが、フィンランド建築のもっとも本質的な特徴を形成しているとの認識から、論文「フィンランドのナショナル・ロマンティシズム建築に関する基礎的研究」を執筆して、研究成果報告書で公表することにした。
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[Publications] 吉村行雄, 川島洋一, 伊藤大介, 織田憲嗣, 大矢二郎: "アスプルンドのランドスケープ・建築・家具"北海道東海大学北方生活研究所 所報. 第29号. 26-35 (2004)
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[Publications] 伊藤大介: "アスプルンドとアールト--それぞれの「北欧」と「自然」"季刊・アプローチ 2004年夏号. 第166号(予定). (2004)