2002 Fiscal Year Annual Research Report
銅中に形成されるナノコバルト磁性粒子の析出形態と磁区構造変化
Project/Area Number |
14550650
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 真帆人 横浜国立大学, 工学研究院, 助教授 (30188198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 孝雄 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40018007)
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Keywords | ナノ磁性粒子 / 銅-コバルト合金 / 析出過程 / 磁区構造 |
Research Abstract |
銅中のナノコバルト微粒子形成に対して磁気的な相互作用が関与すると言う新しい知見が、申請者等の研究により指摘されたが、その詳細については未だ完全には解明されていない。そこで本研究では、(1)コバルト微粒子のサイズ分布と外部磁場の相互作用、(2)コバルト微粒子の磁区構造と磁化率変化の関係、(3)外部磁場効果のモンテカルロ法計算による検証、(4)ナノコバルト微粒子のローレンツ顕微鏡観察を課題として設定した。 課題(1)については、磁場中加熱により析出による相分解を行なって、外部磁場が超常磁性状態での析出を促進する事、また整合-非整合変態についても促進する効果を持つことを明かにした。合金濃度を変えた試料での実験も行なったが、この効果は合金濃度に拘わらず同様に見られた。外部磁場の大きさと促進の度合いについては実験を継続中であるが、粒子サイズでは整合析出粒子形成初期においては比較的小さいが後期になると拡大することが明らかになった。課題(2)については、複数の熱処理条件で合金試料を作製してSQUID測定等を行なった。一定磁場条件下で磁化率の温度変化を取ると、過飽和状態では温度に対して単調な減少を示すが、時効初期では逆転しており、粒子内での磁化の凍結が解けてモーメントが揃うことを示唆する結果が得られた。現在まで、比較試料として測定したCu-Fe合金とはかなり異なる結果を得ている。課題(3)においては、モンテカルロ法計算に外部磁場の影響をどのように取り入れるかが問題になるが、イジングモデルを仮定してコバルト原子に上向き、下向きスピンを割り当てる。外部磁場の影響はスピン分布の偏りとして取り込む事でこれまでに実施したゼロ磁場での計算の枠組みと繋げられる方法を取り得る事が分かった。実際にこの方法により計算を行ない、(1)の実験で得られた結果を定性的にうまく再現できる事が明らかになった。課題(4)のローレンツ顕微鏡観察については、やや大きい目のコバルト微粒子に対して本手法を適用して多磁区構造である事を示す結果を得た。しかし整合後期の双対化粒子の反平行スピン対については、これを証明する像取得は未だ成功していない。この課題については、今後、電子線の干渉性を向上させ、かつ電子線輝度を得る方法の検討、試料温度の検討等を行なって目標達成を試みる予定である。
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