2003 Fiscal Year Annual Research Report
銅中に形成されるナノコバルト磁性粒子の析出形態と磁区構造変化
Project/Area Number |
14550650
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 真帆人 横浜国立大学, 工学研究院, 助教授 (30188198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 孝雄 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40018007)
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Keywords | ナノ磁性粒子 / 銅-コバルト合金 / 析出過程 / 磁区構造 |
Research Abstract |
固相相変態を利用して銅中にナノコバルト微粒子を形成させる過程で、ナノコバルト粒子間に磁気的相互作用が関与すると言う新知見が、申請者等が実施する一連の研究により得られた。これらの先行研究を受けて、本研究では、(1)コバルト微粒子のサイズ分布と外部磁場の相互作用、(2)コバルト微粒子の磁区構造と磁化率変化の関係、(3)外部磁場効果のモンテカルロ法計算による検証、(4)ナノコバルト微粒子のローレンツ顕微鏡観察を課題として設定し、検討を行った。 課題(1)については、温度も変えて無磁場加熱、磁場中加熱によりコバルト析出を幾つかの段階に組織制御し、これを電子顕微鏡観察によって形態変化、サイズ分布を調べた。焼鈍温度973Kと773Kによって同じ傾向、すなわち外部磁場が超常磁性状態での析出を促進する事、また整合-非整合変態についても変態を促進する効果を持つことが確認された。整合-非整合析出の臨界サイズを調べると大きな変化が見られない。銅の融点に対してこの温度変化は小さくないが整合-非整合の臨界サイズが変化しないことはコバルトのキュリー点が高いことと符合する。課題(2)については、析出粒子の形態観察、分布測定と共に磁化測定を行うことで、物性との対応をより明確にすることを試みた。一定磁場条件下でのM-T測定では、急冷過飽和状態では温度に対して単調な減少を示す常磁性的曲線であるが、時効初期段階では磁化の大きさが温度に対して増加傾向を持ち、粒子内での磁化の凍結が解けてモーメントが揃う。課題(3)においては、イジングモデルを仮定してコバルト原子に上向き、下向きスピンを割り当てて外部磁場の影響をスピン分布の偏りとして取り込む事で計算できる事が分かったので、3次元化計算や相互作用の追加が可能になる様に計算方法の改良を行っている。これについては現在進行中である。課題(4)のローレンツ顕微鏡観察については、非整合状態のコバルト微粒子に対して低角電子線回折を実施して調べた結果、磁化が射影成分[110]を持つ事を示す結果を得た。fccコバルトの磁化容易軸が[111]であるとされていることを考えるとこれは妥当である。本研究結果は、形態の異なる整合粒子内部の磁区構造研究を進める上でも重要な手掛かりになるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Takeda, H.Yamada, S.Yoshida, K.Shimasue, T.Endo, J.Van Landuyt: "TEM Study and Monte-Carlo simulation of nano-scale Co particles precipitated in a Cu matrix"Physica status solidi (a). 198No.2. 436-442 (2003)