2002 Fiscal Year Annual Research Report
ECAE法による超微結晶Al-Mg-Sc合金の熱的安定性の向上と疲労特性の評価
Project/Area Number |
14550652
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
門前 亮一 金沢大学, 工学部, 教授 (20166466)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 千尋 金沢大学, 工学部, 助手 (60345600)
北 和久 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (10195240)
|
Keywords | Al-Mg-Sc合金 / ECAE加工 / 熱的安定性 / 超微細結晶粒 / 疲労挙動 / 転位組織 / Al_3Sc整合析出粒子 |
Research Abstract |
本研究では,Al-3masss%Mg合金及び0.2mass%Scを添加したAl-Mg-Sc合金に側方押し出し加工(Equal Channel Angular Extrusion : ECAE)を施し,平均粒径約300nmの超微細結晶粒試料を作製し,先ずこれらの試料に種々の温度にて焼鈍を施し,超微細結晶粒組織の熱的安定性の調査を行った.Al-Mg合金では473〜523Kで再結晶が起こり,機械的強度が著しく低下するのに対して,少量のSc添加により再結晶温度は573K以上となり,超微細結晶粒組織の熱的安定性は著しく向上した.これは結晶粒界上にAI_3Sc相の析出が起こり,結晶粒界の移動を妨げ,結晶粒の成長速度が低下したためである.また結晶粒内にも微細なAI_3Sc粒子が析出し,機械的強度の上昇が見られた. また,ECAE加工を施さずに通常の熱処理を行ったAl-1mass%Mg-0.27mass%Sc合金とAl-1mass%Mg合金について主に疲労強度,転位組織を調査し,以下のような結果を得た.(1)Al-Mg合金にScを添加すると,時効によりAl母相と整合なAI_3Sc粒子が析出し,著しい強度の上昇が見られた.(2)Al-Mg-Sc合金亜時効材では1×10^<-4>以上の塑性ひずみ振幅で疲労軟化挙動が観察された.過時効材ではいずれの塑性ひずみ振幅においても疲労軟化挙動は観察されなかった.(3)Al-Mg-Sc合金亜時効材ではAl_3Sc粒子が微細なため,繰返し変形を受けると運動転位により剪断される.その結果,剪断された粒子は母相中に再固溶し,析出強化を失ったために疲労軟化挙動が起こった.(4)Al-Mg-Sc合金過時効材ではAl_3Sc粒子が大きく,運動転位に対して強いピン止め点として働くため,転位の再配列が起こりにくく転位は均一に分布していた.(5)すべての合金において塑性ひずみ振幅の変化に伴い,試料内部の転位組織はそれに対応した組織を形成していた.
|