2002 Fiscal Year Annual Research Report
CMR効果を示すCo系酸化物の磁気相転移とフォノン伝達
Project/Area Number |
14550661
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
藤代 博之 岩手大学, 工学部, 助教授 (90199315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池部 学 岩手大学, 工学部, 教授 (40005955)
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Keywords | 超巨大磁気抵抗 / Co酸化物 / 熱伝導率 / 熱拡散率 / 強磁性転移 / 熱起電力 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型Co系酸化物La_<1-x>AE_xCoO_3(AEはアルカリ土類金属)は、La_<1-x>AE_xMnO_3に代表されるMn系酸化物と同様に、強磁性金属(FM-M)相が出現し巨大磁気抵抗(CMR)効果を示す。強磁性転移近傍の熱伝導率を系統的に調べ、強磁性転移温度Tc付近の熱伝導率異常が何により決まっているかを明らかにすることが本研究の主な目的である。Co系酸化物(La_<1-x>Sr_xCoO_3(LSCoO),La_<1-x>Ca_xCoO_3(LCCoO),La_<1-x>Ba_xCoO_3(LBCoO))の良質多結晶および単結晶は、FZ法結晶成長装置により組成Xを精密に変化させて作製し、最適な結晶作製条件(成長速度、回転速度、雰囲気ガス種類など)を確立した。電気抵抗率測定やSQUID磁束計による磁化測定を異方性を含めて測定し、結晶性の確認や強磁性転移温度T_cなどの特徴的な温度を明らかした。熱物性測定装置(4K-300K)と伝導冷却型超伝導マグネット(0〜10T)を用いて、試料の熱拡散率αを熱伝導率κ、熱起電力Sと同一セッティングで測定し、強磁性相転移や反強磁性相転移と熱伝導率、熱拡散率、熱起電力との関係を明らかにした。 LSCoO(X=0.20)のκ(T)はT_c=210K以下でκ(T)はわずかな増大を示すが、この増大はMn系のT_c以下でのK(T)の増大に比べると明らかに小さく、Wiedemann-Franz則により計算された電子熱伝導率成分κ_eと、T_c付近でのスピン揺らぎによるフォノン散乱の増大によるフォノン熱伝導率成分κ_<ph>のdipによりほぼ説明できる。Srの他にイオン半径の異なるBa及びCaを置換したLBCoO系及びLCCoO系の熱伝導率を測定した結果、AE=BaではSrと同様にT_c以下でのκ(T)のわずかな増大が見られ、この増大に電子熱伝導率成分κ_eがかなり寄与していることは明らかで、フォノン熱伝導率κ_<ph>=κ-κeには異常がほとんどないことが明らかになった。このことは熱膨張測定からも確認された。AE=Caでは格子歪みの影響で電気抵抗率が大きくκ_eが小さいため、κ(T)に異常が生じない。フォノン熱伝導率κ_<ph>の絶対値はAE=Srが最も大きく、また電気抵抗率もAE=Srが小さくかつ低温まで金属的であることを考えると、LSCoO系はこれら3つの系の中で二重交換相互作用が最も支配的な系であると考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Suzuki, H.Fujishiro, Y.Kashiwada, Y.Fujine, M.Ikebe: "Magnetic, electrical and thermal properties of La_<0.80>Sr_<0.20>(Mn_<1-y>CO_y)O_3"PHYSICA B. (出版予定). (2003)