2002 Fiscal Year Annual Research Report
多電極電界印加型イオン交換による低損失光導波路の作製
Project/Area Number |
14550664
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 哲司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90221647)
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Keywords | 光導波路 / イオン交換 / ガラス / 電界印加 / 光損失 |
Research Abstract |
本研究は,多電極を配置した電界印加型イオン交換法により,ガラス内部に電場勾配を形成させて拡散するAgイオンのプロファイルを制御し,動径方向への拡散を抑制することで光損失の低い導波路を作製することを目的として行った.実験では,フォトリソグラフィー技術を利用して,フォトマスク用ケイ酸塩ガラスの表面に,幅20ミクロンのAg金属細線を施し,その細線より1mmの間隔を空けた両側にバイアス電圧用のPtまたはAu金属電極を形成した.また,基板裏面には陰極としてAg金属膜を一面に施した.基板を加熱ヒーター上に設置して温度300℃まで加熱した後,Ag細線部にDC50Vを,両サイドの電極にバイアス電圧0,100,200,300Vを印加して保持した.処理が終了した後,作製されたAg導波路を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡反射電子像観察によって評価した.バイアス電圧をかけない場合には,初期線幅に対して91%もの線幅の広がりが生じたが,200Vの印加では44%,300Vの印加では8%の広がりとなった.このことから,バイアス電圧をかけることにより細線部からのAgイオンの動径方向の拡散を制御することが可能であることが確認された.一方,深さ方向についてもバイアス電圧の増加によって拡散が抑制されていることがわかった.これらの結果から,Agイオンの拡散制御には,多電極による電場勾配形成が有効であるが,所望の拡散プロファイルの形成には,電圧処理工程の最適化が必要であることがわかった.次年度では,これちのプロセスの改良と光損失との関係の調査が課題としてあげられた.
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