2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550665
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大矢 豊 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80167311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 隆幸 岐阜大学, 工学部, 助手 (70273125)
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Keywords | 酸化亜鉛薄膜 / 配向膜 / 電気伝導度 / 酸素吸着 / フォトルミネッセンス / アセトイン / エタノールアミン |
Research Abstract |
酸化亜鉛薄膜を、酢酸亜鉛を原料としエタノールアミン類やαヒドロキシケトン類を添加剤として2プロパノールに溶解し、これを用いてディップコーティング法やスピンコーティング法によってガラス基板上に塗布し、熱処理して酸化物膜とした。 アセトインとモノエタノールアミンを添加剤として作製した酸化亜鉛薄膜は、膜が厚く加熱速度が速くなるに従ってC軸が基板に垂直になるように配向し、急熱することで最もC軸がした膜となった。これらの膜の電気伝導度は大気中に保管しておくだけで変化し、製膜3日後の比抵抗が10^2Ωcmオーダーであったのが、一ヶ月後には20Ωcm程度まで約一桁減少した。この比抵抗変化はキャリア濃度が大きく増加するためであった。この様な変化は、膜表面に負電荷吸着している酸素分子の量の変化を示していると思われ、作製直後には吸着量が多く、次第に室温での平衡まで減少していくことに由来すると思われる。 加熱速度を変化させて配向度を制御した場合は、加熱速度が大きくなるとキャリア濃度が増加し、移動度が減少する傾向にあった。これは、加熱速度が大きいと結晶子径が小さくなることと関連があると思われる。この様にして作製した膜のフォトルミネッセンスを測定した結果、バンド端に相当する発光は確認されず、残存有機物そのものや有機物による還元に由来する多くの欠陥を含む酸化亜鉛結晶からなる膜であることが分かった。酸素雰囲気中で作製した膜でも同様であり、原料に含まれる有機成分は酸化亜鉛中に多くの欠陥を生じさせることが分かった。 これからの計画としては、溶液を作製する時の添加剤を替えたときの変化を確認する。これまでの実験では主にモノエタノールアミンとアセトインの組み合わせを用いた。この場合は分子中に二重結合が存在し、これが重合するため膜からの除去が困難であったと思われる。エタノールアミン類単独やヒドラジン誘導体などを用いてその結果を検討する。さらに、作製直後の膜表面をオゾンや紫外線で処理し、電気伝導度や多層化したときの影響も検討する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Syukri, T.Ban, Y.Ohya, Y.Takahashi: "A Simple Synthesis of Metallic Ni and Ni-Co Alloy Fine Powders from a Mixed-Metal Acetate Precursor"Mater. Chem. Phys. 78・3. 645-649 (2003)
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[Publications] T.Ohya, A.Nakayama, Y.Shibata, T.Ban, Y.Ohya, Y.Takahashi: "Preparation and Characterization of Titania Thin Films from Aqueous Solutions"J. Sol-Gel Sci. Tech. 26・1. 799-802 (2003)
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[Publications] Syukri, Y.Ito, T.Ban, Y.Ohya, Y.Takahashi: "Use of 2-Hydroxylhydrazine as a New Modifier in Dip-Coating Nickel Films"Thin Solid Films. 422・1-2. 48-54 (2002)
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[Publications] Y.Ohya, K.Horinouchi, T.Ban, Y.Takahashi, N.Murayama: "Gas Sensing Properties of Al_2O_3/SnO_2 Multilayered Films Modified with Pt"J. Ceram. Soc. Jpn.. 110・10. 950-953 (2002)
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[Publications] T.Ohya, A.Nakayama, T.Ban, Y.Ohya, Y.Takahashi: "Synthesis and Characterization of Halogen-free, Transparent, Aqueous Colloidal Titanate Solutions from Titanium Alkoxide"Chem. Mater.. 14・7. 3082-3089 (2002)
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[Publications] Y.Ohya, S.Itoda, T.Ban, Y.Takahashi: "Lead Zirconate Titanate Thick Films Fabricated from Sols with and without Its Powder"Jpn. J. Appl. Phys.. 41・1. 270-274 (2002)
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[Publications] 大矢 豊: "透明導電膜の新展開II,第10章「ディップコート法による高性能ITO膜の作製」"シーエムシー出版. 122-133 (2002)