2003 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデルワールス空間を利用した新規イオン伝導性インターカレーション化合物の設計
Project/Area Number |
14550668
|
Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松田 元秀 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (80222305)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 通博 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (30143960)
|
Keywords | インターカレーション化合物 / ソフト化学 / イオン伝導体 / ファンデルワールス空間 / 合成 / 新規化合物 / 層状構造 / 層空間 |
Research Abstract |
本研究では、ファンデルワールス層空間を構造中に持つSr固溶Bi_2O_3をホストとし、その層間への銀とヨウ素の導入を検討した結果、これまでに知られていない全く新規な無機化合物の合成に成功した。平成15年度は、そのインターカレーション反応によって得られた新規無機化合物のイオン伝導物性のゲスト組成依存性を主に検討した。また、様々なルートからのその化合物の合成の可能性に関しても検討を加えた。以下に、検討内容と得られた知見の幾つかを要約する。 1.以下の5種類の反応条件下で、銀とヨウ素を包蔵した新規層状Sr固溶Bi_2O_3の合成を試みた。 (1)ホストと気相Agl (2)ホストと液相Agl (3)ヨウ素包蔵ホストと液相硝酸銀 (4)ヨウ素包蔵ホストと固相Agl (5)ヨウ素包蔵ホストと固相Ag 粉末X線回折、ICP発光分析、EDX測定の結果から、新規層状Sr固溶Bi_2O_3は合成ルート(5)で行った場合のみ形成されることがわかった。他の合成法では、ホスト相の崩壊やゲストとの無反応が起こり、新規層状Sr固溶Bi_2O_3は形成されないことがわかった。 2.上記1.の(5)の合成法で、種々のゲスト組成からなるインターカレーション化合物を合成し、インピーンダンス測定からそのイオン伝導特性を測定した。その結果、Ag/I値が大きくなるに従い、より高いイオン伝導率を示す物質が創製できることがわかった。また、伝導度の温度依存性から活性化エネルギーを見積もったところ、Ag/I値が大きくなるに従い、活性化エネルギーは低下する傾向にあることがわかった。以上の結果より、新規合成された銀とヨウ素包蔵新規層状Sr固溶Bi_2O_3はイオン伝導体に属し、その化合物中では導入された銀が伝導種と働くことが示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Matsuda, K.Abe, M.Miyake: "Softchemical synthesis and conduction properties of new layered bismuth-based compound incorporated with silver and iodine elements"Solid State Ionics. 154-155. 413-418 (2002)
-
[Publications] M.Matsuda, K.Abe, T.Tamori, M.Miyake: "Designing a new intercalation compound based on a van der Waals type of layered Bi-based compound"Key Eng.Mater.. 228-229. 273-276 (2002)
-
[Publications] 上田政樹, 松田元秀, 三宅通博: "新規層状イオン伝導体のソフト化学的な合成とその評価"日本セラミックス協会第9回ヤングセラミストミーティング講演要旨集. 4-5 (2002)
-
[Publications] 松田元秀, 田森妙, 三宅通博: "Ag-I包蔵新規Bi系インターカレーション化合物の電気特性"2003年電気化学会秋季大会講演要旨集. 101 (2003)
-
[Publications] 松田元秀, 田森妙, 三宅通博: "AgとIをゲストとした新規層状Bi系インターカレーション化合物における伝導イオン種"日本セラミックス協会基礎科学討論会講演要旨集. 450-451 (2004)
-
[Publications] 松田元秀, 田森妙, 安部恵子, 三宅通博: "ファンデルワールス層空間を含有する層状Bi系化合物へのゲストインターカレーションによる新規二次元陽イオン伝導体の材料設計"日本化学会第84春季年会講演要旨集. (2004)