2002 Fiscal Year Annual Research Report
反応性テンプレート粒成長法によるチタン酸バリウム系セラミックスへの粒子配向付与
Project/Area Number |
14550670
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 敏夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70090040)
|
Keywords | チタン酸バリウム / 結晶配向 / 粒子配向 / 反応性テンプレート粒成長法 / フィラー |
Research Abstract |
溶融塩法で合成した板状Ba_6Ti_<17>O_<40>およぴBi_4Ti_3O_<12>を用い、反応性テンプレート粒子成長法によりそれぞれ<111>および<100>配向した高密度・高配向BaTiO_3を作製できた。 <111>配向BaTiO_3では、出発粉体として板状Bi_4Ti_3O_<12>とBaCO_3の混合物を用いた場合、配向度が最高0.8程度の焼結体が得られたが、密度は理論密度の80%程度であった。この場合、板状粒子間にできる大きな気孔が焼結密度低下の原因であった。そこで、粒径0.1μmと0.5μmのBaTiO_3をフィラーとして用いた。粒径0.1μmのフィラー添加ではフラー粒子間での焼結が早く起こるために粒内気孔が生成し、焼結密度はむしろ低下する傾向にあった。粒径0.5μmのフィラー添加では板状粒子間の大きな気孔がフィラー粒子に埋められ、密度が95%以上の焼結体が得られ、配向度も大きいものが得られた。こられの試料の圧電特性は測定中である。 <100>配向BaTiO_3では、板状Bi_4Ti_3O_<12>とBaCO_3の混合物を真空中で加熱することにより配向度が0.8程度の焼結体が得られたが、焼結密度は約75%であった。そこで、粒径0.1μmと0.5μmのBaTiO_3をフィラーとして用いた。この場合は<111>配向BaTiO_3の場合とは反対に、粒径0.5μmのフィラーでは焼結密度は向上しなかったが、粒径0.1μmのフィラー添加により密度が95%程度の焼結体が得られた。出発粉体間の反応において、Bi_4Ti_3O_<12>とBaCO_3からBaTiO_3が生成する反応と同時に、Bi_4Ti_3O_<12>とフィラーのBaTiO_3が反応し、これが配向度と焼結密度の向上をもたらした。Bi_4Ti_3O_<12>とBaTiO_3の反応において、BaTiO_3の粒径が関係することがわかった。<100>配向BaTiO_3の合成では、Bi_4Ti_3O_<12>とBaCO_3との反応により生じるBi_2O_3を除去している。しかし、完全には除去できず、少量残留Bi_2O_3が生成したBaTiO_3に固溶した。このBiはドナーとして働き、焼結体の電気抵抗を低下させた。そのため、圧電特性が測定できなかった。
|