2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550675
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖原 巧 岡山大学, 工学部, 講師 (70243491)
|
Keywords | 結晶化 / 複合膜 / ポリ2ビニルピリジン / LCST / 単結晶 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き複合膜を作製する上で重要となる基礎成分となる各高分子の溶液からの結晶化挙動を明らかとした。特に膜を作製する上で、その特異な結晶化挙動を利用するポリ2ビニルピリジンの挙動の解明は不可欠の要素である。 ポリ2ビニルピリジンの溶液からの結晶化挙動については、炭化水素とアルコールの混合溶媒において低温で溶解状態であり、高温にすると単結晶として析出するという挙動を明らかとしているが、本年度、非結晶性のアタクチックポリ2ビニルピリジンの析出挙動との比較検討から次のことが明らかとなった。アイソタクチックポリ2ビニルピリジンは昇温して結晶化させると低温に戻しても結晶が再溶解しにくくなる。しかし、非結晶性のアタクチックポリ2ビニルピリジンの溶液からの析出挙動は可逆的であり、この析出挙動が、ポリ2ビニルピリジンと溶媒の相図に基づくものであることがわかった。アイソタクチックポリ2ビニルピリジンの結晶が溶解しにくいのはアイソタクチックポリスチレンの場合と同様と考えられる。そこでこの結晶化挙動は温度高分子の結晶化現象としては、これまでに例のないLCST(下部臨界温度)型の相分離挙動からの結晶化となることが明らかとなった。アイソタクチックポリ2ビニルピリジンの析出温度とアタクチックポリ2ビニルピリジンの析出温度を比較するとアイソタクチックポリ2ビニルピリジンがより高温で析出する結果が得られた。これは、溶液中で同じ構造をとると考えると、説明できない挙動であり、アイソタクチックポリ2ビニルピリジンとアタクチックポリ2ビニルピリジンとの間で溶液中での状態に差異があることを意味すると考えられるが詳細は検討中である。成果については現在投稿準備中である。
|