2002 Fiscal Year Annual Research Report
高効率な強相関電子酸化物NaCo204熱電変換材料の基礎物性測定と製造法の検討
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14550686
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
下崎 敏唯 九州工業大学, 機器分析センター, 文部科学教官助教授 (00093964)
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Keywords | 強相関電子酸化物 / NaCo204 / 熱電変換材料 / 粉末焼結法 / 配向性 / 結晶粒成長 / ゼーベック係数 |
Research Abstract |
熱電変換材料の性能は、しばしば、出力因子(power factor)S^2σ,性能指数(figure of merit)Z=S^2σ/κ,および無次元性能指数(dimensionless figure of merit)ZTで評価される。Sが大きく、導電率が大きく、熱伝導率の小さいもの、大きな温度差が得られる材料ほど性能がよいことになる。しかしながら、S、σ、κは全て、キャリア濃度の関数であり、従来の材料では独立に制御できない。強相関電子酸化物は従来のバンド理論では説明できない種々な特異な物性(超伝導、高誘電率、巨大磁気抵抗など)を示すことが知られており、学術的にもこれまでの常識では考えられない特性を持った物質が存在する可能性が高く、近年、特に注目されている。熱電特性に限るなら、異常に大きいSee beck係数と高導電率に比較して異常に小さい熱伝導率を持つ。 近年、この様な強相関電子酸化物NaCo204の単結晶が無次元性能指数ZT>1をクリアしたとの報告が世界に先駆けて日本でなされ、熱電変換材料が太陽電池並に広く普及するための足がかりが出来た。残された間題はNaCo204がP-typeの半導体であり、同様に高性能なn-typeの半導体を作成が必要であること、高温で長時間使用するとNaが飛散してしまい、性能が劣化することが危惧されること、現在、高性能なNaCo204も粉末の焼結体ではなく、単結晶である点であり、単結晶の製造は困難でコストもかかることである。安価で製造が容易でしかも、高温で安定な高性能NaCo204の製造法の開発が他国に先駆けて行われることが望まれる。本研究はNaCo204以外の異種相が混在しないもの、結晶粒をできるだけ大きくし、結晶方位を配向させる技術を開発することを目的とした。 これまでにNa_2CO_3とCo_3O_4の粉末をNaとCoのモル比が化学量論組成の1:2となるように混合し、冷間等方圧機を用いて加圧形成し、二段階焼結法を行った。一段階目の焼結は、炭酸ガスの分離を目的とし、二段階目の焼結は、Naの飛散防止や安定した組成を得るために、同組成の混合粉末の中に埋没させて焼結した。また、さらに均一化を促すために三段階目の焼結を行なった。これら単なる焼結法では充分な性能のNaCo204は作成できなかった。原因としてNaCo204以外の相や空洞の存在、粒界に原因があると考えられる。出発粉末、ホットプレス法、一軸加圧法など種々検討を行う必要がある。現在出発粉末を変えることで、異種相の生成が抑制されることが見いだされている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.SHIMOZAKI, et al.: "Structure of Thermoelectric Material CoSb _3Formed by Reactive Diffusion"Mater. Trans.. 43・10. 2609-2616 (2002)
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[Publications] T.SHIMOZAKI, et al.: "DIFFUSION CONTROLLED OXIDE FILM GROWTH ON GaAlAs SURFACE DUE TO LIGHT IRRADIATION"[Proceedings of D&T '02] VIIIth SEMINAR, DIFFUSION AND THERMODYNAMICS OF MATERIALS. 249-251 (2002)