2003 Fiscal Year Annual Research Report
高効率な強相関電子酸化物NaCo2O4熱電変換材料の基礎物性測定と製造法の検討
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14550686
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
下崎 敏唯 九州工業大学, 機器分析センター, 助教授 (00093964)
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Keywords | NaCo2O4 / 固相反応法 / プラズマ焼結法 / 溶融法 / 低荷重化加熱法 / ホットプレス法 / ゼーベック係数 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
近年、強相関電子酸化物NaCo2O4の単結晶が熱電変換材料の実用化可能なボーダーライン、無次元性能指数ZT>1をクリアしたとの報告がなされた。残された問題はNaCo2O4が高温ぞ長時間使用するとNaが飛散してしまい、性能が劣化することが危倶されること、現在、高性能なNaCo2O4も粉末の焼結体ではなく、単結晶であり、大きな単結晶の製造は困難でコストもかかることである。安価で製造が容易でしかも、高温で安定な高性能NaCo2O4の製造法の開発が望まれる。 本研究では通常の固相反応法(粉末焼結法)、ホットプレス法、溶融法、プラズマ焼結法、低荷重下加熱法など種々の方法でNaCo2O4を作成し、得られた試料の組織を検討した。通常の固相反応法では異種相や空洞の存在、結晶の弱結合の問題がクリアできず、単相で級密な試料の作成は困難であった。ホットプレス法では、不活性もしくは還元雰囲気のため焼結の際、充分な酸素を必要とするNaCo2O4の作成には不向きであった。今後、ホットプレス後の加熱法に工夫が必要である。プラズマ焼結法では一部溶融部が形成され配向組織が得られ、高性能NaCo2O4作成の可能性が示唆された。しかしながら、全体的には通常の焼結法を超える性能を持つ試料の作成は困難であった。引き続き、焼成条件の検討が必要である。Na過剰とした粉末をアルミナ坩堝中、1150℃で加熱した溶融法ではNa過剰な液相が低融点で形成され、この液液相があたかも超流動体のごとく、坩堝の炉壁を這い上がり抜け出すため、坩堝内に残存する固相の濃度はCo過剰となる傾向にある。しかし、本方法が大きな結晶粒のNaCo2O4作成法としては最も可能性が大きい。 低荷重加熱法によって緻密で単相からなる焼結体が得られ、熱電性能も現時点では本研究中、最も高性能であった。しかし、結晶粒は数10μm程度で、配向性も期待できない。液相の這い上がり現象を防ぎ、溶融法によるNaCo2O4多結晶の作成が最も高性能NaCo2O4作成への近道であると考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.S.Kim, K.Suganuma, T.Shimozaki, C.G.Lee: "Effects of Fourth Alloying Additives on Interfacial Microstructure of Sn-Ag-Cu Lead-Free Soldered Joints"Materials Science Forum. 439. 7-11 (2003)