2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550690
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内田 裕久 東海大学, 工学部, 教授 (20147119)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / TiCr / 低温 / 表面 / 被毒 / 反応速度 |
Research Abstract |
水素吸蔵合金の中でも、ノンフロン型冷凍機等に利用が期待されている低温用水素吸蔵合金Ti-Cr系合金に着目し、研究報告が殆どない室温及び室温以下における初期活性化機構、水素化反応機構の解明を目的として以下の研究を総合的に行っている。 低温下での初期活性化機構、水素反応速度の研究として、既にTi-Cr系合金に関する報告をしている。更に、Ti-Cr系合金のベースとなるTiCr_<1.7>合金においても、同様の測定、考察をする為に、水素吸蔵特性の測定を行なった。この水素吸蔵特性のデータから水素固溶体領域を確認し、TiCr_<1.7>合金の初期水素反応速度を測定した。測定は、合金表面を意図的に低真空中にさらして被毒し、一定圧力、または一定温度の条件下で、各被毒時間ごと(30分、1時間、2時間、5時間に分けて被毒を進行)に行うこととした。その結果、Ti-Cr系合金と同様に圧力依存性、温度依存性のあることが確認できた。被毒の進行に伴い、律速段階を示唆する反応次数が減少することからも、律速の段階が合金表面被膜上での水素分子の解離から、水素原子の合金表面被膜中への透過に変化していることがわかった。また、TiCr_<1.7>合金はTi-Cr系合金に比べ、短時間の表面被毒で律速段階が変化していることから、表面酸化被膜を成長させやすい合金であると考えることができる。ESCAの深さ方向分析においても、TiCr_<1.7>合金とTi-Cr系合金中のCrの表面への移動量を見る限り、TiCr_<1.7>合金の方が表面を酸化されやすいと言える。 超高真空下での表面反応について、これまでに我々は希土類系水素吸蔵合金に着目し、希土類金属の水素、酸素及び水の反応性について超高真空装置を用いて定量的に研究を行ってきた。現在、冷却・冷凍型MHヒートポンプ等に利用されている低温用水素吸蔵合金のTi-Cr系合金に注目し、低温、低圧におけるCr表面上の水素、酸素及び水の反応性について定量的に調べている。Cr清浄表面上の水の反応性においては反応初期において最も高い反応性を示した。その後、水の吸着量の増加に伴い反応性は除々に低下していった。また、水分子から解離した水素原子の反応において同様に高い反応性を示し、Cr清浄表面上での水素の反応性より高い反応性を示した。Cr酸化被膜上での水の反応性は、反応初期において高い反応性を示した。反応が進行するにしたがい酸化被膜の影響により水分子の解離が阻害され反応性は低下するものの、Cr酸化被膜上での水素の反応性程の低下は見られなかった。
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Research Products
(3 results)