Research Abstract |
超音波振動付加による圧延荷重の低減効果はすでにステンレス,チタン,アルミニウムで確認されたが,銅では設定振幅が低い場合荷重が増加することが判明した.本年度は極低炭素鋼板と80K高張力銅板を対象に荷重特性と表面および表層部の解析を行った. 1.極低炭素銅板の超音波振動付加.(以下加振)時の圧延特性(2段ロール冷間圧延,ドライおよびウエット) (1)ドライの設定振幅(以下振幅)3.3,4.95μmでは共に荷重が同程度増加する.ウエットの振幅3.3μmでは変らず,4.95μmでやや荷重が減少するが,共に潤滑の効果は大きい. (2)ドライ,ウエットの加振時,板表面粗さは圧下率の上昇と共に通常材と同様に低下し,光沢は向上する.また表面起状が減少し,平坦な部分が増加する. (3)ドライ,ウエットで加振の有無による断面ミクロ組織,板厚方向硬度分布に差違はみられない. 2.高張力鋼板の加振時の圧延特性(2段ロール冷間圧延,ドライおよびウエット) (1)ドライの振幅3.3μmから4.95μmと次第に圧延荷重が減少する.ウエットの振幅3.3μmでやや増加し,4.95μmでは通常材とほぼ同等となり,共に潤滑の効果は小さい. (2)ドライ,ウエットの加振時,板表面粗さは圧下率と共に通常材と同様に低下し,光沢は向上する.また板表面の線状痕は減少する. (3)ドライ,ウエットで加振の有無による断面ミクロ組織,板厚方向硬度分布に差違はみられない. 3.極低炭素鋼板,高張力鋼板のワークロール加振時の圧延特性(2段ロール冷間圧延,ドライ,振幅3.3μm) 極低炭素鋼板は板加振時と同程度の荷重増加を示し高張力鋼板はほとんど変化がみられなかった.共にロール粗さが増加し,表面粗さは高い値に達した. 4.板加振時の実際振幅 レーザ変位計での測定値は,設定値3.3,4.95μmに対して極低炭素鋼板は46,40%,高張力鋼板では35,26%を示し,振動数は前者が極めて密で後者は粗であった.
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