2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱ポーリングとレーザー光によるガラスへの光機能周期構造の形成
Project/Area Number |
14550725
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武部 博倫 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (90236498)
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Keywords | 光ドープ / 硫化物ガラス / 酸化物ガラス / 硫化ゲルマニウム / 硫化ガリウム / 構造 / 熱的特性 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
平成14年度は熱ポーリングによる熔融石英ガラスへの二次非線形光学活性層の形成過程の研究を行った。二次非線形光学効果の発現には、熱ポーリングによるNaイオンの移動に続いて起こる空間電場の凍結が関係することを支持する結果が得られた。フェムト秒レーザーによるSm^<2+>ドープSrS-Ga_2S_3非晶質硫化物薄膜への微小レンズの光誘起形成を検討した。同薄膜では二光子吸収過程によるナノオーダーの凸レンズ状変形部がパルスごとに形成可能であることを見出した。平成15年度は耐熱性と耐結晶化性優れる新規ガラス形成系として、BaO-P_2O_5-B_2O_3リン酸塩系とBaS-Ga_2S_3-GeS_2およびGe-Sb-S硫化物系について、熱的特性とガラス構造との相関性の研究を行なった。 平成16年度は硫化物ガラスにおけるAg(銀)の光ドープ現象を検討した。S-S結合を含むGe-SおよびGe-Sb-Sガラスでは光ドープ現象が認められ、光吸収特性から見積もられる光ドープ速度がS-S結合の存在割合と相関があることを見出した。この結果はAgの光ドープ速度と局所的な濃度を制御するための指針となる。マスキングの併用によりAg光ドープ現象を利用して硫化物ガラスにおいて光周期構造の形成が可能になるため、今後は熱ポーリングと光ドープとの組み合わせにより、二次非線形光学特性を有する周期構造ガラスデバイスへの展開を予定している。一方BaS-Ga_2S_3-GeS_2系ガラスは網目修飾イオンのBa^<2+>を含み、酸化物ガラスと同様に光ドープ挙動を示さず、光安定性に優れるものであり、希土類イオンなどの光アクティブイオンドープによる赤外域でのファイバーレーザー材料としての応用が期待できることがわかった。 これらの3年間の研究成果により、熱ポーリングとレーザー光によるガラスへの光周期構造の形成についての研究を総括した。
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Research Products
(5 results)