Research Abstract |
光造形法はラピッドプロトタイピングの一つで迅速,かつ高精度の樹脂模型が製作できるので試作品の形状確認用模型に広く利用されている.しかし,樹脂は金属に比べて熱・強度の点で劣るため樹脂模型では性能試験が行えない場合もある.そこで,光造形法で製作した樹脂模型を鋳型に埋没しこの鋳型を加熱して樹脂模型を燃焼・消失させ,これに金属を注湯し,樹脂模型を金属に転写することができれば,設計から性能試験までの期間を大幅に短縮できる.しかし,鋳型内の樹脂模型を加熱すると鋳型の破壊,および亀裂が発生することがある. 本研究は,模型の転写性が良好な石膏鋳型を使用し,不飽和ポリエステル系光硬化性樹脂(G42),およびエポキシ系樹脂光硬化性樹脂(SCR701)模型を燃焼・消失させてアルミニウム合金(AC4C合金)に転写することを検討した。鋳型加熱による鋳型の亀裂発生は,樹脂と鋳型の熱膨張率の相違,および樹脂燃焼時に発生するガスによるガス圧力が主因と考えられる.そこで,鋳型の加熱速度を2および20K/minとして,熱膨張率,ガス圧力を測定した.その結果,熱膨張率は,石膏が加熱速度2および20K/minとも273〜573Kの値が約0.8%であり,G42では加熱速度2K/minで約2%,20K/minで約4%,SCR701ではそれぞれ約3%,5%となり,加熱速度が大なほど石膏との熱膨張率の差は大となるので鋳型に亀裂が生じる原因の一つであるこがわかった. ガス圧力は樹脂を石膏中に埋没し圧力測定用のパイプにのみガスを導入した場合,G42では加熱速度2K/minで約100kPa,20K/minで約30kPa,SCR701ではそれぞれ約10kPa,5kPaとなり,加熱速度が大なほどガス圧は大となるので鋳型に亀裂が生じる.一方,鋳型にガス抜き孔を設けると,いずれの場合も値は約1/10に低下した.従って,湯口系の断面積を大きくする,あるいはガス抜き孔を付け発生したガス逃がす,および樹脂模型が圧肉の場合は,ハニカム構造にして樹脂の質量を小とするとこが鋳型破損防止対策として有効でることがわかった.
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