2003 Fiscal Year Annual Research Report
非経験的分子軌道法によるダイオキシンの酸化物触媒分解機構の解明
Project/Area Number |
14550729
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
不破 章雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60139508)
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Keywords | dioxins / catalyst / ab initio MO |
Research Abstract |
本研究では、非経験的分子軌道法計算により、ダイオキシンの酸化物触媒分解機構の解明を試みた。そこでまず触媒を表現するクラスターの妥当性に関して、本研究では分子軌道論的解釈を加えることにより最小クラスターでの表現が可能かどうかの検討を行った。対象原子としてはダイオキシン前駆物質6塩化ベンゼンとし、銅触媒表面相互作用の分子軌道論的解明を行った。その結果、結合軌道を解析することでクラスターサイズに起因するエッジ効果の部分を特定することができ、これらを徐外して考えることにより最小クラスターを用いても触媒の効果を推定することが可能であることが示された。また、ダイオキシン類の分解過程は計算解析だけでなく実験的解析も未だ十分に行われていないのが現状である。そこで本研究ではダイオキシン類の分解経路を明らかにするためにダイオキシン類の一つであるnon-chlorinated-dibenzo-para-dioxin (NCDD)を対象元素とし、酸素吸着によるダイオキシンの酸化分解過程の解明を行った。特に注目した反応はダイオキシン類酸化分解過程(1)脱塩素化反応 (2)酸素架橋部の開裂 (3)ベンゼン環の開環反応のうち(2)の酸素架橋部の開裂反応についてである。この結果、酸素架橋部の開裂反応の優勢経路の算定、ならびにその支配因子の特定を行った。この結果から酸素架橋部の開裂は非常に大きな活性化エネルギーが必要であり気相均一相では起こりにくく、酸素架橋部の開裂反応には触媒表面への吸着反応による安定化が必要であると考えられる。
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