2002 Fiscal Year Annual Research Report
エチレングリコール液体膜による各種ガス・蒸気透過分離プロセスの開発
Project/Area Number |
14550747
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊東 章 新潟大学, 工学部, 助教授 (50151494)
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Keywords | 膜分離 / 液体膜 / 除湿 / プロピレン / 炭酸ガス |
Research Abstract |
本研究は従来の液体膜による膜分離法の欠点を解消する方法として、超疎水性多孔質膜の表面上での非揮発性の含浸型液体膜を保持することで、減圧透過操作が可能な液体膜構成法を考案した。この液体膜の主成分は吸湿性の液体であるエチレングリコール類(特にトリエチレングリコール)であり、したがってこの液体膜は初めに除湿膜としてその性能が示された。しかしそればかりでなく、この液体膜に分離目的成分と相互作用をもつ成分を混入して、促進輸送膜として他の分離系に応用することが可能である。本研究ではこのアイデアを他の分離系に展開して、液体膜の応用範囲を広げることを目的とする。検討する分離系はA:芳香族炭化水素の分離、B:エタノール/水蒸気系の分離、C:空気中の有機蒸気と臭い成分の分離、D:酸素/窒素分離、である。 検討の結果、A:芳香族炭化水素の分離についてはベンゼン/シクロヘキサン混合蒸気系でKI、KC1等のハロゲンを含む塩を混合したトリエチレングリコール液体膜が芳香族選択透過性が生じるという新しい知見が得られた。この促進輸送の機構について今後検討する予定である。 B:エタノール/水蒸気系の分離についても、LiBr等吸湿性の塩を含む液体膜が高エタノール濃度の蒸気においても高い水蒸気選択透過性を示すことがわかった。これを脱水膜とすることで、エタノール蒸気を濃縮するプロセスが構成できる可能性を示した。 C:空気中の有機蒸気と臭い成分の分離については検討中である。D:酸素/窒素分離については現在のところ当初の目的は達しておらず、成果がでなかった。
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