2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルーゲル法によるシリカ/抽出剤ハイブリッド膜の合成と貴金属の高選択的能動輸送
Project/Area Number |
14550751
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大榮 薫 宮崎大学, 工学部, 助手 (00315350)
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Keywords | ナノテクノロジー / 分離固体膜 / 有機 / 無機ハイブリッド膜 / 貴金属回収技術 / 能動輸送 / 新規抽出剤 / 貴金属センサー / 膜分離機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新たなキレート固体膜開発のためにゾルーゲル法を利用したメソポアシリカ/抽出剤ハイブリッド固体膜の合成を行い、白金族金属の選択的透過機構を解明し、ハイブリッド固体膜の細孔構造と分離特性との関係とその最適化、および能動輸送の発現機構のメカニズムを明らかにすることにある。最近、我々は白金に対するパラジウムの高い選択性を有する抽出剤を開発した。今年度は、シリカのメソポアの細孔構造に固定化される抽出剤の合成とその金属イオン抽出特性を検討した。本抽出剤は、白金族金属元素に対して高い親和性を示すと期待される硫黄原子を含んでおり、さらに非常に弱い塩基性を示すアニリンのアミノ基を配位基とする5員環キレート形成する新規な抽出剤である。この抽出剤のトルエン溶液を用い、塩酸溶液および硝酸アンモニウム水溶液からの金属イオンの選択性および抽出平衡について検討した。本抽出剤は、共存する陰イオンの種類によらずに、銅コバルト、ニッケル、鉄などのベースメタルは全く抽出せず、金(III)、パラジウム(II)のみを高選択的に抽出した。また、ベースメタルだけではなく、白金(IV)およびロジウム(III)なども全く抽出されず、白金族金属の相互分離が可能であることが明らかとなった。抽出平衡については、塩酸溶液からの金の抽出平衡を詳細に検討し、その化学量論関係や抽出平衡定数を明らかにした。 現在、金の抽出機構を明らかにするために、定界面積の平面接触撹拌槽を用いて抽出速度を測定している。また、本抽出剤を無機/有機ハイブリッド固体膜にencapsulatedするためにゾルーゲル法によるシリカ膜を調製している状況である。
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