2003 Fiscal Year Annual Research Report
カチオンサイトの選択的制御による高速空気吸着分離用ゼオライトの開発
Project/Area Number |
14550754
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
山崎 達也 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (60174653)
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Keywords | FAUゼオライト / 空気分離 / 吸着分離 / 窒素吸着 / 酸素吸着 / 銅クラスターイオン |
Research Abstract |
周辺環境への負荷の軽減を目的として、富酸素燃焼プロセスが注目されている。このプロセスを実用化するためには、安価で高効率な酸素製造技術の確立が必要である。本研究では前年度に行ったCOをプローブとしたLow Silica X Zeolite (LSX)ゼオライトの定量的な表面解析結果に基づいて研究を進め、以下のような成果を得た。 1.LSXに存在するイオン交換サイトのうち、吸着に重要なサイトIIIの量を増加させることを目的として、それ以外のサイトIあるいはサイトII上にCu^<2+>イオンを交換導入し、その構造安定性・吸着特性を解析した。 2.Cuイオンを交換導入したLSXに対して、焼成処理あるいは還元剤投入による処理を行うことにより銅クラスターイオンが形成されることを、分光学的に明らかにした。このクラスター形成は銀イオンの場合よりもゆっくり起こるため、ある程度制御が可能であることがわかった。また比表面積測定から、銅クラスターイオンがサイトIに選択的に導入されることが示唆された。 3.銅添加量について検討した結果、過剰な銅の添加はLSXゼオライト結晶構造の破壊を引き起こし、比表面積の大幅な低下を引き起こすことがわかった。しかし、銅の交換率を30-40%とした試料では結晶の破壊が少なく、比表面積もその後処理によって回復可能であることが示された。また、Cu^<2+>の導入により、窒素に対する吸着性の向上が認められた。 4.クラスターイオンで改質したLSXにさらにLiイオンでイオン交換した試料を調製し、平衡法により窒素および酸素吸着量を測定した。その結果、本研究で調製された吸着剤が既存の空気分離用吸着剤と匹敵する性能を示すことがわかった。また、吸着の温度依存性などから、吸着条件の最適化によって吸着分離係数はさらに高められることが示唆されている。
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