2002 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空処理により表面改質した金属触媒によるジオレフィン類の選択還元反応
Project/Area Number |
14550762
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西山 覚 神戸大学, 工学部, 助教授 (00156126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴谷 滋 神戸大学, 工学部, 教授 (00031120)
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Keywords | 超高真空処理 / ブタジエン / 水素化 / 選択性 / パラジウム / 酸化亜鉛 / 表面構造変化 / 水素同位体 |
Research Abstract |
パラジウム触媒および酸化亜鉛触媒の超高真空処理 硝酸パラジウムを出発原料としてSiO_2担持Pd触媒を調整し,水素中で還元した後,通常の真空下(LV:【approximately equal】1〜10^<-2>Pa)で排気処理した。さらに超高真空下(【approximately equal】10^<-7>Pa),所定温度で排気処理しUHV処理Pd触媒を得た。UHV処理中の脱離物を質量分析計で測定したところ,水(m/e=18)の他に原料塩の対アニオンに起因する窒素酸化物(NO, N_2O:m/e=30,44)の脱離が確認された。これら触媒に残存する極微量の不純物がUHV処理によって脱離する。既報()に示したとおり,UHV処理による不純物の脱離によって,金属表面が凹凸に富んだ構造に変化する。この表面を用いてブタジエンの水素化を行った。同様にしてZnO触媒も超高真空下で加熱排気処理しUHV処理したZnO触媒を調整した。Znは出発原料塩に炭酸亜鉛を用いているため,UHV処理中にCO2に帰属される脱離物が確認された。ZnO触媒は水素化能を有するものの,Pdなどの貴金属触媒と異なり,水素の解離過程はプロトンとヒドリドへのヘテロ解裂である。貴金属触媒と金属酸化物触媒で超高真空処理による活性変化の違いを調べる。 UHV処理したPd/SiO_2およびZnO触媒上での1,3-ブタジエンの水素化反応 Pd/SiO_2触媒では,UHV処理によってブタジエンの水素化処理速度が幾分増大した。生成した部分水素化生成物は,1-ブテン,2-ブテンであったが,UHV処理によって反応初期1-ブテンが優先的に生成した。これは,UHV処理したPd表面で1,2付加が1,4付加に比べて優先的に進行するためだと考えられる。凹凸に富んだ表面は平滑表面に比べ1,4付加の中間状態を形成し難いためであろう。一方,ZnO触媒ではUHV処理によって大きく水素化速度が増大した。UHV処理によって,高速に完全水素化生成物であるn-ブタンが生成した。金属触媒と金属酸化物触媒でUHV処理効果が異なることは興味深い。この点についても平成15年度,継続して検討する。
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