2003 Fiscal Year Annual Research Report
物質刺激感応性高分子修飾によるマイクロ流路の自動制御
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14550781
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 徹 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40186945)
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Keywords | マイクロ分析システム / 流れ制御 / 濡れ特性 / 温度感応性高分子 / オクタデシルシラン / フロスト加工 / 化学物質感応性 / グルコース |
Research Abstract |
基板上に精密加工された微小流路からなる集積化分析システムに関する研究はここ10年の間に爆発的に進展し、多くの分野で応用が試みられている。本研究では益々複雑化する微小流路における溶液の流れ制御の新方式として、物理・化学的刺激によって親水⇔疎水性が可逆的に変化する高分子を流路壁に修飾し、水濡れの変化を刺激によって調節することによって、溶液を動かしたり流れを切り替える手法の可能性を検討した。その結果、温度感応性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)をシランカップリング剤を介して流路壁に修飾することによって、溶液の流れやすさを温度によって制御できることがわかった。その傾向は温度感応性高分子とともにオクタデシルシランを修飾することによってさらに大きくなり、また、表面にサブマイクロメートルの凹凸ができるフロスト加工によって作製された流路壁への修飾によって、加温によって撥水性が発現し、完全に溶液流れを止めることができた。流路全体をフロスト加工によって作製し、そこに温度感応性高分子を修飾することによって、望みの場所で溶液を止めたり、流れを切り替えることが可能となった。次に、高分子に化学物質に対する感応性を持たせるために、いくつかの官能基を導入した。カルボン酸やイミダゾール基を持つ高分子は、臨界温度近傍で温度一定条件下、酸・アルカリ及び塩濃度に応じて親水⇔疎水可逆変化を示した。一方、糖との相互作用が知られているフェニルホウ酸基を含む高分子を調製したが、グルコースの存在によっても親水⇔疎水変化は見られなかった。これに対し、フェニルホウ酸とともに、ジエチルアミノエチル基を導入するとグルコースによる疎水化効果が見られ、グルコースに感応する高分子となった。この高分子を流路壁に修飾することによって、グルコースに感応する流れ制御の仕組みができると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 齋藤 徹, 松原チヨ, 平出正孝: "温度感応性高分子を用いる分離濃縮と微量計測工学への応用"分析化学. 52・4. 221-229 (2003)
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[Publications] Tohru SAITOH, Fumiaki SATOH, Masakata HIRAIDE: "Concentration of heavy metal ions in water using thermoresponsive chelating polymer"Talanta. 61・6. 811-817 (2003)