2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550784
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大友 征宇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10213612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正幸 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70271864)
野澤 庸則 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10006322)
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Keywords | 光合成色素 / 膜タンパク質 / 光捕集複合体 / 核磁気共鳴 / バクテリオクロロフィル |
Research Abstract |
光合成生物の光捕集器官は色素分子と膜タンパク質複合体から構成されており、本研究はその高次構造解析を目的とし、これを踏まえて光エネルギー伝達などの光化学的機能との関係解明、さらに人工光合成系構築のための光捕獲システムの開発を目指すものである。 平成14年度において、光合成細菌由来の光捕集複合体(LH1)を選択的に標識し、本申請者らが開発した再構成法によりその構成成分の同定を原子レベルで行った。高分解能溶液核磁気共鳴(NMR)法を用いて、再構成LH1の構成単位であるB820サブユニットについて、炭素並びに水素核の測定を行った結果、色素の中心金属Mgに配位するヒスチジン残基のイミダゾール側鎖が色素の環電流シフトを受けて、プロトンの化学シフトが約3ppm高磁場側へ大きく変化したことが判明された。また、重水素置換されたα、βポリペプチドを用いた高濃度再構成B820のNMR解析から、色素二量体の近傍にあるプロトン対に関する詳細な情報を得た。 高次構造の形成に深く関与する他のアミノ酸残基を確認するために、αとβポリペプチドを^<13>Cと^<15>Nで二重標識した試料を作成した。現在、有機溶媒中において多次元NMRの測定から、全原子の化学シフトとアミノ酸残基の連鎖帰属を行っている。これと平行して、原子間距離の情報データも収集しており、最終的にαとβポリペプチド両方の立体構造決定を目指している。 一方、耐熱性光合成細菌から光電変換機能を有する反応中心(RC)との複合体LH1-RCの単離・精製も試みた。異なる種類の界面活性剤処理によって、光学活性のもつ極めて高純度・高濃度の試料を得ることに成功した。現在、X線構造解析に向けて、共同研究者と同複合体の結晶化条件のスクリーニングを行っている。LH1-RC複合体の構造が明らかになれば、光生物における光エネルギーの伝達と変換を共役したメカニズムの解明のみならず、工学的に利用しやすい太陽エネルギー変換システムの構築にも大きく寄与するものと期待される。 上記の研究に関連した成果の一部は既に国際学術専門誌に掲載されている。(次頁を参照)
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Z.-Y.Wang, Y.Muraoka, M.Shimonaga, M.Kobayashi, T.Nozawa: "Selective detection and assignment of the solution NMR signals of bacteriochlorophyll a in a reconstituted subunit of a light-harvesting complex"J.Am.Chem.Soc.. 124. 1072-1078 (2002)
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[Publications] M.Umetsu, R.Seki, Z.-Y.Wang, I.Kumagai, T.Nozawa: "Circular and magnetic circular dichroism studies of bacteriochlorophyll c aggregates : T-shaped and antiparallel dimers"Journal of Physical Chemistry. B106. 3987-3995 (2002)
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[Publications] Q.-M.Xu, C.Wang, Z.-Y.Wang, T.Nozawa, et al.: "A dimeric structure of bacteriochlorophyllide c molecules studied by scanning tunneling microscopy"Journal of Physical Chemistry. B106. 3037-3040 (2002)
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[Publications] Z.-Y.Wang, M.Shimonaga, Y.Muraoka, M.Kobayashi, T.Nozawa: "N-terminal methylation of the core light-harvesting complex in purple photosynthetic bacteria"FEBS Letters. 519. 164-168 (2002)