2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550784
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大友 征宇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10213612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 庸則 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10006322)
小林 正幸 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70271864)
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Keywords | 光合成色素 / 膜タンパク質 / 光捕集複合体 / 核磁気共鳴 / バクテリオクロロフィル |
Research Abstract |
平成16年度では、これまで天然の膜タンパク質の単離精製に加え、従来大量発現が極めて困難であるとされてきた光合成膜タンパク質を大腸菌発現系及び無細胞タンパク質合成系を用いて発現し、その発現産物の詳細な特性評価を行った。まず光合成細菌由来光捕集複合体(LH1)のαとβ膜タンパク質の発現をC末端にヒスチジンタグを融合した形で試みた。両発現系から合成された膜タンパク質は天然のものと同じαヘリックス含量を示し、さらに天然の膜タンパク質及び色素(BChlα)との再構成実験より、天然のものと同様の機能を保持していることが判明された。この結果は、各種構造解析を目的とした無細胞発現系は強い疎水性をもつ膜内タンパク質の機能的発現にも利用可能であることを示した。 膜タンパク質の大量発現系の構築が確立されたのを受けて、安価な同位体標識法の開発に研究を進めた。現在NMRによるタンパク質の立体構造解析に大腸菌発現系が広く用いられているが、通常発現するタンパク質を^<15>Nと^<13>Cで標識する必要があり、さらに数ミリグラムから数十ミリグラム程度のタンパク質を必要とする。同位体標識のために、通常M9培地または市販の藻類加水分解物を主成分としたものが使われているが、前者では発現量がLB培地に比べて大幅に下がり、また後者の場合標識にかかるコストが高いなどの問題点がある。本研究では、単純な炭素源と窒素源で生育可能な光合成細菌を加水分解で処理し、大腸菌発現系の培地として利用することにより、実験室規模で目的タンパク質をより安価で標識する簡便な方法の開発を試みた。数種類の光合成細菌の加水分解物を大腸菌の培地としての利用を試みた結果、^<13>Cおよび^<15>N二重標識にはA.vinosum加水分解物培地、^<15>Nのみの標識にはR.rubrum加水分解培地をそれぞれ使用することにより、低コストで大腸菌を標識させることが可能であると示された。今後、本研究で確立した手法が大腸菌発現系を用いた様々なタンパク質試料の標識に広く利用されていくことが期待できる。 上記の研究に関連した成果は既に国際学術専門誌に掲載されている。(次頁を参照)
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Research Products
(6 results)