2002 Fiscal Year Annual Research Report
光電気化学エッチングによるナノポーラス酸化チタンの創製とガスセンサーへの応用
Project/Area Number |
14550787
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉浦 隆 岐阜大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40171144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箕浦 秀樹 岐阜大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40021612)
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Keywords | 光電気化学エッチング / ナノポーラス構造 / ガスセンサー / 表面処理 |
Research Abstract |
酸化チタンは,近年,光触媒や色素増感型太陽電池材料など光機能性材料としてたいへん注目されている材料のひとつである.私たちはこれまでに、酸化チタン焼結体の光電気化学エッチングサイトについて詳しく検討し,結晶粒配向性や粒界の存在といった結晶粒構造に依存した特徴的なエッチングパターンが形成されることを見いだした。適当な条件で光電気化学エッチング処理した酸化チタン表面は高結晶性かつ大比表面積を持ち,光触媒や光電極,センサーへの応用に大変有用であると考えられた。本研究では,酸化チタン焼結体に対して光電気化学エッチング表面処理を施し,エッチングサイト選択性について検討し,その表面形態を制御するとともに,応用としてガスセンサー特性について評価した。酸化チタンガスセンサーは,光触媒機能などを併せ持つ複合型機能素子としても興味が持たれる。酸化チタン焼結体の水素ガスセンサー特性を測定したところ、光電気化学エッチング処理により感度が増加するとともに、水素ガス雰囲気から空気雰囲気に変えたときの応答速度が速くなることがわかった。光電気化学エッチング反応はルチル型構造を持つ酸化チタンのc-軸方向に進行し、それと平行な(100)面によって囲まれたナノメートルサイズの四角柱空洞部を有するエッチングパターンが表面に形成される。一般に半導体ガスセンサーのセンサー特性発現機構は、空気雰囲気中では酸素分子が半導体表面に負電荷吸着するため半導体中のキャリアが減少し高抵抗を示し、これが水素のような還元性ガス雰囲気になると負電荷吸着していた酸素分子が還元脱離することによって抵抗が減少するという抵抗変化が原理となっている。光電気化学エッチングにより感度が増加したのは、ナノポーラス構造形成によって比表面積が増加し、吸着酸素量が増加して空気中の抵抗が高くなったためと考えられた。一方、応答速度については、光電気化学エッチングで選択的に溶け残った(100)面に対して酸素吸着の速度が速いためと考えられ、これは、各種結晶面を持つ単結晶電極を使用して得られた結果と一致した。
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Research Products
(1 results)