2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規中温域燃料電池用電解質としてのポリリン酸アンモニウム系プロトン導電体の研究
Project/Area Number |
14550790
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Research Institution | DOSHISHA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲葉 稔 同志社大学, 工学部, 助教授 (80243046)
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Keywords | ポリリン酸アンモニウム / 中温域燃料電池 / プロトン伝導体 / 固体電解質 / 熱安定性 / カチオン置換 |
Research Abstract |
ポリリン酸アンモニウム(NH_4PO_3)は300℃付近で10mS cm^<-1>程度の比較的高いプロトン導電性をもち、300℃付近で作動する高効率な中温域燃料電池の電解質として有望であるが、熱安定性には問題点がある。本年度は、ポリリン酸アンモニウム系複合体を作製し、そのプロトン導電性と熱安定性を明らかにするとともに、種々のイオンをドープすることによって分解過程を制御し、300℃付近の温度領域で高いプロトン導電率と熱安定性を併せ持つ固体プロトン導電体を得ることを目的とした。 本年度は、電解質自身の熱安定性を向上させるために、NH_4O_3のNH_4^+の一部を不揮発性でイオン半径の近いK^+イオンで置換した(NH_4)_<1-x>K_xPO_3を作製し、プロトン伝導性と耐熱性を評価した。その結果目的とする固溶体電解質(NH_4)_<1-x>K_xPO_3は尿素を用いた作製法で得られ、xの値は仕込みの組成の20〜44%の範囲で制御できることが明らかとなった。また、固溶体電解質(NH_4)_<1-x>K_xPO_3の組成によっては、400℃という高温においても固体状態を維持しながら、高いプロトン伝導性を示すことがわかり、開発したプロトン伝導体が300℃付近で作動する燃料電池の電解質材料として有用であることが確認された。本電解質の加水分解の有無は明らかではないが、(NH_4)_<1-x>K_xPO_3電解質に与える影響は少なく、伝導度や形状にほとんど変化は見られなかった。プロトン伝導機構を解析した結果、(NH_4)_<1-x>K_xPO_3電解質では、NH_3が脱離することでKPO_3の結晶領域とHPO_3のアモルファス領域に相分離し、それぞれがマトリックスとプロトン伝導の役割を担っていた。生成したHPO_3は300℃ではわずかに揮発性があり、NH_4^+固溶量の小さい試料では徐々に伝導度の低下が見られ、今後揮発を押さえ耐久性を向上させる必要があることが示された。
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Research Products
(1 results)