2004 Fiscal Year Annual Research Report
基底状態および光励起状態のペリ環状反応の設計・制御に対する理論的研究
Project/Area Number |
14550795
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
酒井 章吾 岐阜大学, 工学部, 教授 (40221262)
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Keywords | IDA / CiLC解析 / 芳香族性 / Diels-Alder反応 / ペリ環状反応 / 擬ペリ環状反応 / Claisen反応 |
Research Abstract |
本研究においては次のプロジェクトについて研究を行った。 (1)芳香族性に関する新しい指標:芳香族性に対し新しく提唱した指標(IDA)の妥当性を検討するためオルト,メタ、パラの3つの異性体を持つベンザインについて調べた。その結果、NICSの値はπとσで大きく変わるが我々の芳香族性からのズレで定義した指標(IDA)はVB法で求めた共鳴エネルギーの順序と非常によい一致を示した。 (2)ペリ環状反応と擬ペリ環状反応:(Z)-1,2,4,6-Heptatetraeneとそのヘテロ置換体に対する分子内環化反応についてその反応機構をCILC解析法を用いて調べた。その結果、(Z)-1,2,4,6-Heptatetraeneは逆旋的反応を示しローンペアーを持っヘテロ置換体はπ-横π、およびn-π相互作用において反応が起こりペリ環状反応と擬ペリ環状反応の間には明確な違いがあることを見いだした。 (3)Diels-Alder反応機構:Diels-Alder反応に関し協奏的機構と段階的機構について調べた。特に段階的機構で反応が起こる可能性について、シラエチレンを用いて調べた。その結果ブタジェンとシラエチレンに関しては反応の基本は段階的に起こり、協奏的反応径路において、中間体は生成しないものの、電子論的には段階的機構で起っていることが明らかになった。 (4)Claisen転移反応機構:最も基本的なClaisen転移反応機構についてCiLC解析法を用いてその反応機構を調べた。その結果、σ結合の交換は反応を通して徐々に起こるがπ結合の交換はその遷移状態付近で急激に起こり,σ、π両結合の交換が同時に起こるCope転移反応とは大きく異なっていることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)