Research Abstract |
LiMn_<2-x>M_xO_4(M=Co, Ni, Zn)の熱力学データと電池特性との相関関係を検討した。さらに,充電時のLi量変化に対応する試料の熱力学的安定性を検討した.また,これらの試料について物性及び中性子回折による結晶構造変化の検討も行った.さらに,MEMによる電子密度解析及びマーデルングエネルギー(M.E.)などを用いて,物性及び熱力学データと合わせて検討した. Li_yMn_<2-x>M_xO_4(M=Co, Ni, Zn; 0<y≦1)の単一相試料の構造解析を行った結果,置換量xの増加またはLi量yの減少により(Mn, M)-Oの結合距離が短くなった.また,置換量xの増加に伴い,初期放電容量は減少するが,サイクルに伴う放電容量の低下がおさえられた.さらに,各試料について1g原子当たりの反応エンタルピー変化ΔH_Rなどを求めた結果,置換量xが増加すると,電池反応の全領域において熱力学的に安定化した試料が得られることを明らかにした.さらに,MEMにより電子密度分布から,置換量の増加に伴い(Mn, M)-O間の共有結合性が増大することを明らかにした.また,置換量の増加に伴いM.E.の絶対値は増加し,安定化する傾向が得られ,熱力学データと一致した. さらに、DV-Xα法を用いた第一原理計算を行い,検討した.LiMn_<1.75>M_<0.25>O_4(M=Mn, Zn)については,Mn, Zn原子のイオン性は,Znを置換することにより低くなった一方,Liのイオン性はどれも高い値を示していた.また,BOPからは試料の大部分を占めるMnと酸素の共有結合性がZnと酸素間の共有結合性より大きい結果が得られた.八面体をなす軌道は,DOSとの結果よりO2p軌道とMn, Znの3d軌道が混成し,結合性があることが分かった.よって、置換することにより構造が安定化することが,実験結果と計算結果から示唆された.
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