2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルキルフラーレンカチオンによるフラーレン被覆ナノ構造体の構築
Project/Area Number |
14550807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 敏一 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
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Keywords | フラーレン / カルボカオチン / ソルボリシス / pK_R^+ / 電子移動 |
Research Abstract |
1.アルキルフラーレンカチオンの熱力学的安定性の定量的評価 塩化物R-C_<60>-Clのトリフルオロエタノール-アニソール混合溶媒中におけるS_N1型ソルボリシスによる溶媒置換体(R-C_<60>-OCH_2CF_3およびR-C_<60>-C_6H_4OMe_P)の生成速度を測定し、反応中間体であるアルキルフラーレンカチオン(RC_<60>^+)の安定性を評価した。この反応の活性化自由エネルギーは同一条件で測定したt-BuClに関する値とほぼ同等であり、R-C_<60>^+がt-ブチルカチオンに匹敵する安定性を持つことが示された。一方、カルボカチオンの熱力学的安定性パラメータの一つであるpK_R^+値を、H_2SO_4-TsOH中におけるフラレノールR-C_<60>-OHのイオン化平衡の精密測定により決定した。得られた値(-15.8〜-15.7)はt-ブチルカチオンのpK_R^+値に近いことから、ここでもRC_<60>^+がt-ブチルカチオンと同等の熱力学的安定性を有することが確認された。以上の結果は、適当な方法によりRC_<60>^+を有機溶媒中で長寿命化学種として得ることが可能であることを示すものであり、今後これを用いてフラーレン被覆構造体が調製できるものと期待される。 2.プロトンスポンジによるアルキルC60塩化物の電子移動促進置換反応 塩化物R-C_<60>-Clはプロトンスポンジ(1,8-ビスジメチルアミノナフタレン)と迅速に反応し、塩素原子がプロトンスポンジ構造で置換された生成物を与えることを見つけた。この反応は上記のS_N1型ソルボリシスと同様の置換生成物を与えるが、その機構は明確に異なり、強い電子供与性を持つプロトンスポンジからR-C_<60>-Clへの一電子移動により促進された、ラジカルを経由する反応であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 北川敏一, 李 洋洙, 花村政暁, 坂本晴美, 紺野博文, 竹内賢一, 小松紘一: "Nucleophilic Substitution of Alkylchlorodihydro[6O]fullerenes : Thermodynamic Stabilities of Alkylated C_<60> Cation Intermediates"Chemical Communications. 3062-3063 (2002)