2003 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素化ベンゾアゾール誘導体の二重蛍光挙動の解明とその化学センサーへの応用
Project/Area Number |
14550811
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
田中 潔 成蹊大学, 工学部, 教授 (40138540)
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Keywords | ベンゾオキサゾール / イミダゾピリジン / フルオロファー / 化学センサー / 金属カチオン認識 / 緑色蛍光 / フルオロフェニル基 / ヒドロキシフルオロフェニル基 |
Research Abstract |
(2-ヒドロキシテトラフルオロフェニル)ベンゾオキサゾールのp-位フッ素をイミダゾリル基で置換したフルオロファー1およびそのピラゾリル誘導体2を合成し,それらの蛍光挙動を検討した。クロロホルム-アセトニトリル系中での金属カチオンの認識について検討したところ,1はAl^<3+>では緑色蛍光の強度が大きくなるのに対し,Zn^<2+>では青緑色の蛍光が大きく増光することが明らかとなった。他のアルカリ金属やアルカリ土類金属カチオンではそのような変化は認められないことから,1はAl^<3+>やZn^<2+>を選択的に認識すると同時に,それぞれのカチオンに対応して異なる波長の蛍光を発するマルチ化学センサーとしての可能性を明らかにした。なお,フルオロファー2ではそのような増光は認められないことから,1のイミダゾリル部位での金属カチオンの捕捉が増光挙動の重要なステップとなることが判明した。すなわち、イミダゾール部位でAl^<3+>が捕捉され,引き起こされる電子状態の変化がヒドロキシル基まで伝達され,緑色蛍光の増大となって認識されたと考えられる。一方,ベンゾアゾール骨格を他の骨格に展開する一環として,イミダゾピリジン骨格を持ち2-ヒドロキシテトラフルオロフェニル基で修飾されたフルオロファー3をあらたに合成し,それの蛍光挙動を明らかにした。ついで,金属カチオン認識能について検討した結果,3は選択的にZn^<2+>で青色の蛍光が増光すること,そしてAl^<3+>では淡青色の蛍光が大きく増光することを見いだした。3の場合にも,捕捉する金属カチオンによって蛍光波長が異なる点に大きな特徴があり,マルチ化学センサーとしての機能を持つことが明らかになった。これまでの結果に基づき2004年に開催されるThe International Conference on Fluorine Chemistry' 04 Kyotoおよび14^<th> European Symposium on Fluorine Chemistryで発表予定である。
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