2002 Fiscal Year Annual Research Report
隣接二金属中心を有する遷移金属触媒の創製とその合成反応への応用
Project/Area Number |
14550816
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 祥雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 直史 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70292240)
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Keywords | パラジウム / 二核錯体 / アルキン / 芳香環 / C-H結合活性化 |
Research Abstract |
本研究課題の準備段階において新規窒素-リン複合四座配位子(Hdpfam)を開発し、それを用い様々な二核錯体(M_2Ar_2(μ-X)(μ-dpfam),M=Pd, Pt)の合成を行ってきた。また、その中で、二つの白金を塩素配位子で架橋した二核錯体Pt_2Tol_2(μ-Cl)(μ-dpfam)を水素化ホウ素ナトリウムとの処理によりヒドリドで架橋した二核錯体Pt_2Tol_2(μ-H)(μ-dpfam)へと変換できることを見出している。この錯体は一つの金属上にトリル基とヒドリドを有しており、トルエンのC-H結合が金属に酸化付加した錯体とみなすことができる。そこで、本年度はこの知見をもとに芳香族化合物のC-H結合活性化を経由する新規触媒反応の開発について検討した。その結果、ヒドリド架橋白金二核錯体では実現できなかったものの、ハロゲン架橋二核パラジウム錯体を水素化ホウ素ナトリウムで処理して生じる錯体が、ベンゼンのC-H結合をアルキンに付加させる触媒として機能することを見出した。触媒に改良を加えた結果、ヒドロキソ架橋パラジウム二核錯体とトリアルキルボランを触媒として用いることにより定量的に付加体が得られた。本反応は高い立体選択性で進行しcis付加体のみが得られた。また、芳香環上に電子求引性または電子供与性が存在しても良好な収率で生成物を得ることができ、電子リッチ芳香環にしか適用できなかった既知の反応に較べ大きく進歩したといえる。反応機構に関しては現在調査中であるが、本反応は単核錯体触媒では全く進行しないことを確認しており、反応機構の解明によって、さらなる二核錯体特有の新規触媒反応の開発が可能と考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shuichi Oi: "Rhodium-catalyzed conjugate addition of aryl-and alkenylstannanes to α,β-unsaturated carbonyl compounds"Tetrahedron. 58,1. 91-97 (2002)
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[Publications] Shuichi Oi: "Conjugate Addition of Organosiloxanes to α,β-Unsaturated Carbonyl Compounds Catalyzed by a Cationic Rhodium Complex"Organic Letters. 4,4. 667-669 (2002)
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[Publications] Shuichi Oi: "Ruthenium Complex Catalyzed Direct Ortho Arylation and Alkenylation of Aromatic Imines with Organic Halides"Organic Letters. 4,10. 1783-1785 (2002)
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[Publications] Shuichi Oi: "Asymmetric 1,4-Addition of Organosiloxanes to α,β-Unsaturated Carbonyl Compounds Catalyzed by a Chiral Rhodium Complex"Organic Letters. 5,1. 97-99 (2003)