2002 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-金属-ヘテロ原子結合を持つ有機スズおよびゲルマニウム反応剤の新反応の開発
Project/Area Number |
14550817
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
普神 敬悟 群馬大学, 工学部, 助手 (90202283)
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Keywords | 有機スズ反応剤 / パラジウム触媒 / アトムエコノミー反応 / 環境調和型有機合成 / 高効率反応剤 / 高配位スズ化合物 |
Research Abstract |
平成14年度は、主として有機スズ上に同一の炭素基(合成ブロック)を担持させ得ることを積極的に活かした高効率炭素-炭素結合構築反応の開発に焦点を当てた。申請書中の研究計画に沿って順調に研究を進め、ほぼ予定通り、下記の成果を得ることができた。 1.スズ上の炭素基を複数個利用する新規溝呂木-Heck型反応の開発 テトラアリールスズを反応剤とし、酸化剤に過酸化水素水、反応助剤に酢酸カリウムを用いることにより、パラジウム触媒溝呂木-Heck型反応において、スズ上のアリール基を少なくとも3個目までは、目的生成物の構築に利用できる、新しい反応系の開発に成功した。 2.スズ上の炭素基を全て利用する右田-小杉Stille反応の開発 (1)フッ化物イオンを反応助剤とする高効率交差縮合系の構築 テトラアリールあるいはアルケニルスズを反応剤とし、フッ化テトラブチルアンモニウムあるいはフッ化セシウムを反応助剤に用いることによって、スズ反応剤に対して4倍モルものハロゲン化アリールを定量的に交差縮合反応させることに初めて成功した。 (2)水酸化物イオンを反応助剤とする高効率交差縮合系の構築 フッ化物反応助剤の代わりに水酸化カリウムを用いることによって、スズ反応剤に対して4倍モルものハロゲン化アリールの定量的な交差縮合反応に初めて成功した。これにより、有機スズのアトムエコノミー化だけでなく、反応系の経済性が格段に向上した。 (3)る高効率交差縮合系の水系溶媒中での実施 前項(2)の反応系は、水-ジオキサンの等量混合溶媒中で実施した場合に、極めて良好な結果を与えることを見いだした。この結果により、有機スズの反応としては、環境適応性の極めて高い炭素-炭素結合構築反応を開発することができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Kosugi, K Fugami: "Palladium-Catalyzed Reaction of Organotrichlorotins with Norbornenes"Main Group Metal Chem.. 25巻・1号. 1-25 (2002)
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[Publications] M.Kosugi, K Fugami: "A Historical Note of the Stille Reaction"J. Organomet. Chem.. 653巻・1-2号. 50-53 (2002)
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[Publications] K.Fugami, M.Kosugi: "Organotin Compounds (Topics in Current Chemistry Vol.219, Cross-Coupling Reactions -A Practical Guide-, ed. by N. Miyaura)"Springer-Verlag GmbH & Co. KG. 44 (2002)
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[Publications] M.Kosugi, K.Fugami: "Overview of the Stille Protocol with Sn (Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis, ed. by E. Negishi)"John Wiley & Sons, Inc.. 21 (2002)